紅茶の香り ページ36
ゾ「俺は」
言いたいことがまとまったのか、ゾンビがもう一度口を開く。私もペットボトルから口を離した。
ゾ「お前が近くにいる時、紅茶の香りがするのが好きだ」
『……』
ゾ「だからな、俺が近くでタバコを吸って、匂いがうつったら良くないと…」
『……君さぁ』
ゾ「………」
『自分が随分恥ずかしいこと言ってるって気付いてるかい?』
私がそう言うや否や、彼は片手で顔を覆って若干体を前に倒す。どうやら自覚したらしい。「忘れてくれ」の一言が恥ずかしがってる割にハッキリしているが、血色の悪い灰色の肌に赤らんだ頬はよく映えた。
ふふ、とまた吐息で笑う。
どうやら彼に言葉の裏の気遣いは無用だったようだ。器用なようで不器用な彼が、必死に自分の考えを言葉にしているのだ。彼だけに恥をかかせる訳にもいかない。
『ゾンビ』
ゾ「…‥なんだ」
『月が綺麗だねぇ』
そういうと、彼は少し顔を上げて月を見る。赤い瞳が月明かりで照らされて、月よりそっちの方がよっぽど綺麗かもしれない、と思った。
「そうだな」と彼が笑う。初秋の虫が鳴いていた。
65人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜雄色(あおいろ) - ゆきなさん» 更新&返信遅れて大変申し訳ございません…!分かります!!私もその2人めっちゃ大好きです!!!(大声)ありがとうございます!やっぱりワンパン愛が足りないので滝行するしか無いですね (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - おかめさん» その節は大変申し訳ございませんでした…!ありがとうございますぅ、全力で更新させていただきます…! (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
亜雄色(あおいろ) - ホロロさん» おもしロンドン…!?(溢れ出るセンス)ありがとうございますうううう!!更新&返信遅れまくってすみません…!ワンパン愛が足りませんね、滝行してきます (2020年11月3日 14時) (レス) id: e36e2a56bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 推しは番犬マンと金属バッドです!これからも無理せず頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年9月11日 4時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
おかめ(プロフ) - 更新が暫く無いようですが、ずっと待ってます! (2020年5月29日 21時) (レス) id: 93e49bab53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜雄彩(あおいろ) | 作成日時:2020年2月16日 16時