首領秘書生活始めます。【文豪ストレイドッグス】

第33話「要らない配慮」 ページ35

今日はとうとう待ちに待った訓練の日。

日替わりでやる事になった私だが、始めが中也と聞いて吐きそうになった。

明日、絶対筋肉痛だ…

私は中也の部屋の前で待機していた。

チラリと腕時計を見ればもう少しで約束の時間になりかけていた。

私がノックしようかと迷っていたその時。

中「気合い入ってんなァ、A？」

と後ろから声が聞こえた。

ばっと勢い良く振り向けば、そこにはくつくつと喉を鳴らして笑っている中也が居た。

貴方「…そりゃね。何たって幹部候補様直々に教えてもらえるからね。」

冗談めかしてそう言えば中也はどの口が言ってやがんだ、と突っ込んだ後私を爪先から頭にかけて見た。

中「おい、テメェなんつー格好してやがる。」

貴方「え？」

そう呆れ気味に言う中也の言葉を聞き、もう一度自身の服装を見る。

貴方「普通のジャージじゃない？」

私がきょとんとした顔で言えば、中也はとんとんと胸元を叩く。

中「お前、胸デカイんだからタンクトップの上にジャージ着てるだけだとブラくっきり見えてんぞ。」

私はその言葉と共にばっと手を交差して胸を隠す。

貴方「なっ、はっ…！？」

最早、言葉にならない声が出る。

中也はそれを見て深い溜め息を吐いた。

こっちが溜め息吐きたいわ。

中「後、あんま薄着も感心しねぇなァ？テメェ女なんだから気を付けろよ。」

そう言うと、ぼすっと手に何かを持たされる。

貴方「何、コレ？」

中「薄いけど下着の線とか見えねえジャージ。それと、スポーツブラ。」

貴方「前者は良しとするが、後者は解せぬ。」

いやいや、つか誰の配慮！？

そんな私の気持ちを察したのか中也は言った。

中也「言っとくが、どれも俺の配慮じゃねえからな。」

貴方「え、じゃあ誰の…？」

いや、待てよ？

私の服とブラのサイズを知ってるのは…

まさか、まさかだが…

私が恐る恐る問い掛ければ、中也は真顔で







中「─────首領だ。」






と言った。



貴方「…着てキマス。」

私は、恥ずかしさやら嬉しさやらを抱えながら、服を着替えた。





(きっと服を着替えさせた時に分かったんですね恥ずか死ぬ)←

※第１１話参照








私は中也と、とある部屋に向かっていた。

無言でてくてくと歩いていれば、中也がふと問い掛ける。

中「そいやぁ、お前、何かスポーツとかやってた事あんのか？」

貴方「えっと、パルクールって知ってる…？それならやってたけど…」









答えれば中也は立ち止まった。

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