首領秘書生活始めます。【文豪ストレイドッグス】

第27話「相違点」 ページ29

中原side

初めてアイツを見た時、正直また太宰絡みかと思った。

この女も太宰に惚れていたのだろう。

今までも太宰の奴に惚れてる女が違う女に嫌がらせをする事は何度もあった。

今回もそのパターンかと思った。

薄墨色の髪は水を掛けられたのだろうか、濡れていた。

肌はまるで雪のように白く、きめ細かい。

綺麗な奴だな、と正直思った。

まあ、太宰が手を出した女だから、ここの構成員なんだろう。

それにしても、見た事のねえ顔だ。

新入りか？

俺はそんな疑問を抱えつつ、女の看病を続けていた。

看病から3日目。

貴方「っう…」

ソイツは一つうめき声をあげ、むくりと起き上がる。

そして、初めて目が合った。

赤と紫を混ぜた、深い臙脂色の瞳。

それはさながら宝石のようで。

俺は少し見とれていた。

ソイツは島崎Aと言うらしい。

コイツは俺が看病したと言うと、謝ってきた。

そんでもって、こっからが驚きだ。

俺が太宰の事を愚痴れば、コイツも思い当たる節があるのか、遠い目をした。

大抵の女は太宰に惚れてるが、コイツは太宰を嫌っていた。

意外な共通点だった。

俺がもう１つ驚いたのは、コイツがあの噂の首領秘書という事だった。

聞けば、首領に惚れてた女からの嫌がらせだったらしい。

まとめていた資料を盗まれたり、破かれたり、靴の中に画鋲が入っていたらしい。

それを、大した事ないと言えるコイツは、なかなか神経が図太いらしい。

そして、大した事ないと感じる理由が理由だった。

『太宰の嫌がらせの方が上手いし、苛つく』

俺は色々と申し訳なくなった。

項垂れていると、Aが頭を撫でてきたが、不思議と嫌な感じはしなかった。

××さんって何処？と聞かれた時は驚いた。

まさか、名前まで調べてるとは。

流石、首領の秘書ってとこか。

しかし、きっと、ソイツはもう…

言葉を濁して伝えれば、納得したようだった。

そして、次ははっきりと太宰が嫌いだと言う。

様つけてる理由がひねくれてるもんだからついつい笑ってしまう。

心の中でどう呼ぶかと聞けば、『包帯の付属品』だ？

俺はツボに入り暫く笑っていた。

それから、Aとは太宰の愚痴でかなり盛り上がった。

そんな時、水をさしたのは太宰本人。

俺達は二人揃って同じ顔をしていた。

話して分かった、俺とAの相違点。

俺は惹かれていた。

だからだろうか。

太宰に、コイツの異能力を聞いて言葉を失ったのは。






───精神操作の異能力は…。

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