首領秘書生活始めます。【文豪ストレイドッグス】

第43話「心配と善処」 ページ46

閑話休題。

何もないです。

何もなかったですからね！！？

声を低くして囁いた首領の言葉にこれでもかと顔を赤くさせていた私でしたが、そこから先は何もありませんでした。

今日の会話でパルクールはどれくらいやっていたのかを主に聞かれています。

貴方「パルクールは友人に勧められて少しかじった程度ですよ…？」

森「どれくらいやっていたんだい？」

私が控えめにそう告げれば首領は興味深そうに聞いてきた。

貴方「大体、5ヶ月ちょいですかね…？」

私がそう言えば首領は何かを思案するように、顎に手をあて黙り込んでしまった。

え？何？まさか気に触るような事言った！？

どどうしよう…！！

首領が怒った…！！殺されるのでは…！？

私のおどおど、というか焦りを感じたのか首領はにこりと笑って

森「大丈夫だよ。君は何も悪い事をしていないから。」

と安心する言葉を言ってくれた。

私はその言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。

森「中々良い動きだったよ。鍛えれば直ぐに上達するだろう。」

首領は頭をタオルで吹きながらそう言った。

これは、つまり…？


───褒められた？


私は何だか嬉しくなって、少し恥ずかしくもなって。

小さな声で礼を告げた。

貴方「私、頑張りますね。」

そう決心し、声に出せば首領はタオルを動かしていた手を止めた。

すると両頬を両手で包むように私の顔を上に上げた。

首領の目がこちらを真っ直ぐに見つめる。

貴方「しゅ、首領…？」

それが何だか無性に恥ずかしく私はどもりながら問い掛ける。

首領はいつになく真剣な顔と声で呟いた。

森「頑張るのは良いのだけど、あまり無理してはいけないよ？」

首領の口から出た言葉は心配する言葉だった。

貴方「大丈夫ですよ。無理はしませんから。」

私も真剣に告げる。

森「明日は太宰君だ。彼がどんな人間か君も分かっているだろう？」

貴方「…はい。」

私はそう問い掛けられて少しの間の後返事をする。

太宰治がどういう人間かなんてとっくのとうに分かっている。

なにせ私はこの世界を知っているのだから。

彼が世の中に対してどう思っているのかも。

彼が自身の部下に何をしているのかも。

勿論、これからの事も。

知っている。

だからこそ変えたい。

彼も彼の部下も。

彼の友人の未来も。

変えたいのだ。

森「あまり危険な事はしないのだよ？」

貴方「…善処します。」

考えを読んだかのように釘をさす首領。

私は苦笑しながら返事を返した。

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