cast.9 ページ9
昨日の夜、ベッドに入るまでは良かった。
意識しすぎて全く寝れなかったのだ。
ゆっくり確かめていくってなんスか!?????
恋とか愛とかまだオレっちには早すぎる気がするッス〜!!
登校中も悶々と考えてしまい、何度も電柱に激突しては天チャンに冷たい目で見られた。
足を運べばいつの間にか教室のドアの前。
どんな顔して話せばいいのか、いつもどんなふうに話してたっけ...ドアにかけた手が汗ばんでいく。
ただ、おはよう、と。何気なく、いつもみたいに自然に、たった一言、それだけ。...それだけなのに。
舞台の上よりも緊張している。
「おはよ七尾くん」
「どぉわあああああああっ!!」
「え、なに、そんな驚く??」
「あっいや!なにも、なにもないッス!!」
いつもの感じッスね…
内心ショックに思う自分がいるのが恥ずかしい。
Aちゃんは、昨日のこと、なんとも思ってないのだろうか…
もしかして夢…?
そんなことまで考えてしまう始末だ。
ちょっとぐらい何か変われ、なんて思いながら隣のAちゃんを見ていると、バチッと目が合った。
すると、Aちゃんはカリカリと俺の机に何かを描き始めた。
そこには、「見すぎだぞー えっちー笑」と書かれていて、Aちゃんはべッと意地悪そうに舌を出していた。
んもぉぉぉぉぉぉぉ…!!
好きにならないでどうするんだ。
俺はただ、顔を赤くするしかなかった。
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作者名:宵ノ月 | 作成日時:2022年9月4日 1時