俺だけのヒロインになって下さい。 (ページ5)

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cast.5 ページ5

多勢に無勢。特にこれといった抵抗も出来ず殴られ蹴られ続けるしか出来なかった。

ただ、商売道具である顔だけは守らないと…

相手の拳を見切って、躱して、防いで、全身が軋んだ。

四方八方に意識を向けることは、バカな俺には無理があった。ふと意識が途切れた瞬間、

1人の回し蹴りが自分の顎にクリーンヒット。

視界が歪み、閃光が放たれたかのように目の前がチカチカした。

これは、死ぬかも…しれ、ない…

俺はやっぱり何も出来ない。そう思った瞬間、

「ダッセぇんだよ」

そんな事ないとでも言うかのように、蹴ってきた相手が視界の横に飛ばされた。

飛ばした方を見ると、髪で隠れて顔はしっかり見えなかったけど確かに女の子だった。

突然現れた救世主は瞬きをする度に不良共を蹴散らしていった。

飛ぶように、跳ねるように、ふた周りも小さく細い体で＿。

俺はただ見てる事しか出来なかった。

初めは優勢でも、やはり多勢に無勢。少しずつ劣勢に追い込まれていった。

そして女の子の体は簡単に飛ばされた。

「やってくれたなこのアマァ…」

拳を振り上げる不良に向かって全速力で走り、

「させるかぁぁぁぁぁぁあああああ！！！！！！」

力の限りぶん殴った。