cast.23 ページ23
圧巻だった。
情が乗った演技は場を支配し、客席で見てた俺も、終始鳥肌が立っていた。
「いいんじゃねぇの、なぁ太一。」
「あっ、うん、凄く良かったッス…」
上手いことを言えないでいると、そーじゃねぇだろと万チャンに背中を叩かれる。
「お前の言葉でアイツの答えを導け。過去に悔いたお前なら、言ってやれんだろ。」
"つまらない人間になりたくない"
"俺は_俺はっ、MANKAIカンパニーの、秋組の、七尾太一ッス…!!"
俺は真っ直ぐにAちゃんの目を見て喉がちぎれそうになるほどの大声を出した。
少しでも、ちょっとでも、Aちゃんに届くと願って。
「Aチャン!!過去は変えられない!罪は消えない!でもそれは、下を向いていい理由にならない!!
今のAちゃんだって、過去のAちゃんだって、大好きでいてくれる人が必ずいるッス!!
なら、その人が好きなAチャンを嫌いになっちゃ悲しいッスよ…!
過去の自分を嫌いにならないで欲しいッス…!!AちゃんはAちゃんなんだから…っ!」
肩で息をする。
届いただろうか、Aちゃんはまだ下を向いたままだ。
まだ、まだ足りない…!
意を決して、深く息を吸った。
「俺は…っ、どんなAちゃんだって…!」
「大好きッス!!!!!!!」
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作者名:宵ノ月 | 作成日時:2022年9月4日 1時