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『…あれ…は…』
驚きで痛みなど忘れた身体は、そう言葉を漏らす。
つまり槍がドラゴンに姿を変えた、という事だろう。そう理解はしているもののなぜそうなったのかは全くわかりはしない。
先程までドラゴンの姿が見えなかった理由だけはよくわかった。
「これが貴様と我が持つ槍の真の姿よ、まぁ槍の姿も真なのだがな。」
＿＿今にでも相手は私の身体を貫く事も出来る、それなのに、何故これを見せたのだろうか。
視線は私の上を優雅に舞うドラゴンに釘付けだったものの、思考はそう全く関係ないものに周っていた。
「で…だ。あの男を“喰った”ドラゴンに同じく喰われるか。我に殺されるか。選べ。」
今“コイツ”は喰ったと言ったか？
穢れた黒きドラゴンで、私を救った聖なる存在を。
いつの間にか痛みなど忘れていた、自らに刺さる剣も自らの手で引き抜いてはすぐさま立ち上がり手に赤い槍を握った。
その瞬間、“アンフェール”という言葉がただ脳内に浮かぶ。
＿無意識に、口元が吊り上がった気がした。
『我、穢れなき存在である汝に誓おう。今ここで、汝に全ての力を捧げると。アンフェール＿＿！』
そう脳内につらつらと浮かぶ言葉を口から吐きだせば、手に持っていた槍が眩く神秘的な光を放つ。
そうして私の横に現れたのは紅色の、穢れなきドラゴンの姿だった。
嗚呼、これでこそ逆転劇の開幕に相応しい。
『ふっは…ははふふふ…ッ！ さぁいけアンフェール！ あの穢れきった騎士を殺せ！』
そう命令すると、アンフェールは軽く頭を縦に振る。
そのまま何か体にオーラのような何かを纏った後、相手へ突進していった。
「我の予想通りの展開だ、ふは…実に面白い。まさか我がこれほどバカだったとはな」
突進されていっているにも関わらず、相手は余裕そうな口調。
そしてバカ、という煽りまで。それでもイラつきはしなかった、これから相手は死ぬのだからら。
＿＿＿そう、そのはずだった、とでも言っておこう。
今まで優雅に空を泳いでいた黒きドラゴンはいきなり白きドラゴンに牙をたて噛みついた。
そうだ忘れていた。あの女以外の存在を。
「中々面白い劇を見させてもらった。また面白い、東国の清き姫騎士様が敵国の象徴であるドラゴンを従え戦っているなど。」
劇、その言葉を聞いてはやっと理解した。コイツは勝利を与える気など微塵もないと。
そう、私は舞台の上で散々踊らされただけだったのだ。
「貴様に勝利などない」
続く
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よぬば(プロフ) - コメントありがとうございます(*^^*)やはり占ツクではこういったシリアスというか、こういう系の小説は少ないですよね…。受け悪いだろうなーと思い作っていたのですがそう言っていただけると本当に嬉しいです…！改めてありがとうございます！ (2017年11月25日 21時) (
レス) id: 0bc43fc3f6 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - 今の占ツクには滅多にない良作を発見しました。やっぱり、最近の占ツクにあるような物よりも、こういう文章の書き方の方が好きですね(*´∇｀*)これからも応援させて下さい！ (2017年11月22日 7時) (携帯から) (レス) id: b3533b2202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よぬば | 作成日時：2017年11月1日 16時
