happiness (ページ12)

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すこし蒸し暑い夜。

日付がすぎた今の時間に練習室にいる人は僕以外いない。

今回教えてもらった振り付けは激しい動きが多く、
自分のやわい動きのせいでパフォーマンスチームの足を引っ張ってしまった。

『はぁっ…はぁ』

やっぱりどうしても納得のいかない自分のダンス

『…帰ろ。』

このまま踊っても何も変わらない気がした。

熱気につつまれた練習室をでる。

深夜となると周りはとても静かで暗い。

ひとつだけ輝いてる部屋の明かりのぞいて。

＊

『こんな遅くまで、目が可哀想ですよ。
　ジフンくん。』

モニターを目をかっぴらいて見てるジフンくんは僕の存在に気づかなかったみたいで、
わかりやすく物音を立てて驚いた。

面白い。

WZ「おい、驚かすなよ…」

ジフンくんの手元には横線がひかれた文字ばかり。

　
前にスンチョルくんと話した時にジフンくんは曲も手がけるんだという話を聞いたのを思い出した。

実際に目の前で曲を作るジフンくんを見て
天才だなってしみじみ思う。

WZ「いつまで突っ立ってんの、
　座んなよ。」

隣の席を指差してくれたジフンくん。

言い方はぶっきらぼうだけど、こんなところが優しいし、かわいい。

さっきまでのダンスの不調を忘れてジフンくんが作る曲にのめりこむ。

ここの歌詞が綺麗だ、とか
ここのリズムがやばい良い、とか

自分の語彙が少ないことは知っていても驚くぐらい自分の気持ちを伝える言葉がでてこない。

けれど必死になってジフンくんに凄さを伝える。

『ねぇ本当にすごいよ。ジフンくん、

　君ってすっごい良い、素晴らしいんだよ。

　こんな言葉で伝わるかな？

　でも、本当にすごいんだよ。綺麗。』

僕の感想を聞いて笑いだしたジフンくん

わっ失礼。

WZ「笑笑
　なんでそんなに感想が下手なんだよー笑」

赤ちゃんのように笑ってるジフンくんはかわいいけど、しっかりつっこんでくる。

さっきダンスをしていたときのお腹に溜まってたような重い感覚が消えた。

ジフンくんと話しただけで軽くなった体。

なんだか嬉しくなってジフンくんに張りついた。

WZ「暑い。」

なんて言いつつも口角が上がってるのを知ってる。

『ひどいですよ笑
　僕からの愛情表現です。』

いらないなんて言ってるジフンくんはちょっと僕の扱いが雑かもしれない。