生放送【キノユキからの大切な話】 ページ19
「…ホンマに大丈夫なんか?」
「そんな心配せぇへんくて大丈夫やで」
此方を心配そうに見つめる幸人。
安心させるために微笑んだものの、幸人の表情は更に曇ってしまった。
…うまく笑えていなかったのだろうか?
あと五分で放送を開始する予定だ。
きっと放送を始めたとたん、怒濤の罵詈雑言が流れてくるのだろう。
…怖いけどやらなくちゃいけない。
深呼吸をし、生放送を開始した。
「あーあー、聞こえてますかね?」
予想通り暴言の嵐。
ちらほら私を庇護するコメントが見えるものの、ほぼ掻き消されている。
「タイトル通り私キノユキから大切なお話をさせていただきます」
要点だけ伝えれば良いんや。
大丈夫、大丈夫。
「皆さんご存じ、私は我々だというグループにおいて、唯一の女性です。
そのためあまり快く思わない方が多数居ると見受けられます」
ふと目に入ってきた辞めるのか?というコメント。
…ちゃうわアホ、まだや、まだ辞めへん。
「要点だけ伝えます、私を批判するぶんには構いません、今まで通り楽しんでゲームを続けます。
が、有り難いことに私を庇ってくれている人やメンバーに私に関しての批判をするなら、私はこのグループを辞めさせてもらいます。
でもそんな事有り得ませんよね、だって私以外のメンバーが好きだから私を批判するんですから
態々好きな人を批判しようだなんて思いませんよね勿論」
こんくらい強気でいかんとな、だって怖くて怖くて声震えんようにすんのが精一杯なんやもん。
ちらっと幸人の方へ視線を向ける。
…あと少し、大丈夫や頑張れ。
「…話は以上です、何かある人はTwitterのDMで直接お願いします。ありがとうございました」
そう言って生放送を終了した。
あーあ、この後DM凄いんやろな。
「…頑張ったな幸暖」
幸人が抱き着いてくる。
…私以上に心配しとったからな。
「うん、頑張ったで…こんな頑張ったん久し振りやわ」
もうどうなっても仕方無い。
受け入れな駄目なんや。
それでも、現実もネットも怖いなぁ…。
渡る世間は鬼ばかりやでホンマ。
「…なんで女やからって批判されなアカンのやろ」
「幸暖には俺が居るから、大丈夫やで」
「…せやなぁ、幸人は一人の家族やからな…幸人も私の事頼ってな?」
「充分頼らせてもらっとるわ」
両親は生きとるけど、私の家族は幸人だけや。
…ごめんなぁ皆にも幸人にも迷惑掛けてばっかで。
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櫻夢(プロフ) - 紫さん» 勿体なきお言葉…!有難うございます!拙い文ですがこれからも精進させて頂きます! (2020年4月29日 0時) (レス) id: c6ce1548f4 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - 続きも頑張ってください(*>∇<)ノこの小説大好きです!!! (2020年4月28日 11時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻夢 | 作成日時:2020年1月12日 12時