変人少女二人組【鬼滅の刃】 (ページ39)

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離々たる夜花編:拾噺＿卅弐話目ページ39

あの後鋼堂妻子は屋敷を出て、それを私達は見送った。

｢主様、任務デス｣

見計らって来たのか…優秀過ぎない？

｢ん？なんだ、早いね！何処かな、詳細は？｣

｢場所ハ南南西、朝暮村ニテ、若イ男性凡ソ七名ガ行方不明｣

七人…成る程ね。
若い男性かぁ…なんでだろー？
女性の方が栄養価は高いんだけど。

まぁ良いか！

隊服に着替え、羽織に袖を通す。
ベルトに刀を二本差し、長靴を履く。

｢じゃ、行ってくるねー！宇髄さんに宜しくー！｣

｢いがないでぐだざいいいい！！｣

｢うるさいよ須磨！…樹！頑張ってくるんだよ！死んだら承知しないからね！｣

｢二人とも…行ってらっしゃい樹ちゃん、天元様は居ないけれど、きっと応援してるわ｣

…嗚呼、そうか。

｢生きて会えるか分からないけど、頑張るね！｣

***

…この人、変人だ。

名を鋼鐵塚さん。
刀愛が強すぎるのかな、急に日輪刀の説明をしてくるし、
それどころか小屋にも上がらずに刀を出すものだから驚いた。
ひょっとこのお面も気になるけれど、刀匠の里ではこれが常識らしい。
でも何故風鈴？綺麗だから良いけれど…。

やっと家に上がった鋼鐵塚さんは、竈門さんに刀を渡す。
ゆっくりと鞘から刀身を引き抜いた。

｢…黒い…｣

黒い…。
竈門さんは青色か赤色かと思ってた。
せめて紫よね…？
でもどう光を当てても、黒色から色が変わらない。

嗚呼ほら、鋼鐵塚さんが癇癪起こしてる…！
そんなに赤い刀身が見たかったのかな。

｢…もういい、お前の刀はこれだ｣

｢わぁ…凄いですね…｣

柄は赤く、鞘は赤が基調のちりめん模様だ。
鍔は白菊の形をしていて、私の羽織と同じような刀だ。

｢お前は呼吸が使えないんだったな、なら色変わりしない。俺はもう帰る｣

あっ…。

途端、罪悪感で心臓が軋んだ。
酸素が無くなり、視線が揺れる。
手は震え、力が入らない。

落としては駄目だ、駄目。

例え色変わりしなくても、刀身は見ておかなくては。

刀を抜くが、やはり色は変わらない。
ただ鈍色が光るだけ。

｢…？綾芽の刀身、何だか薄くないか？｣

｢薄い…？｣

薄い？だから異様に軽かったのか。
しかし何故、小柄の女だからか？

｢…樹が〝綾芽は腕力は無いけれど、小柄で速度はある。だから軽くて薄い刀身の方が良い〟
と鋼鐵塚に鴉を飛ばしていた｣

…鱗滝さんに書かせたのね…。

｢…有難うございます｣

鴉が騒々しい。

｢綾芽！任務ヨ！｣

初仕事だ。