最終選別編:拾噺_拾話目 ページ13
背があれば、その分筋肉の量も多くなる。
断固とした目標や決意があれば頑張れる。
才能があれば、私は迷惑を掛けなくて済む。
樹は細身だけど、上背があった。
樹は人を守るという決意があった。
樹は呼吸と剣技の才能があった。
樹は、私の持っていない物を多く持っている。
羨ましいな…樹も、竈門さんも。
竈門さんは、彼と私を庇うという目の前の事の為に戦おうとしている。
それだけではないように見えるが。
他人の為に此処まで命を擲とうだなんて、どうかしている。
でも、それが妬ましい程羨ましい。
私には、到底そんな真似出来ないから。
…竈門さんの呼吸が乱れている。
自分の兄弟子や姉弟子がほぼ彼奴に喰われた。
そんな事実を知ればそうなるのも仕方無いだろうな。
だが、戦場においてそれは通用しない。
…何もしなかった腰抜けが何言ってるんだか。
「…竈門さん…!落ち着いてください…!呼吸が乱れています…!!」
鬼に竈門さんが殴り飛ばされた。
「あッ…」
鬼が此方を向く。
「お前、稀血かァ?」
ッ…この手は、使いたく無かったんですが…。
「そうです、稀血ですよ。貴方方の大好きな稀血」
刀を抜刀し、腕に当てる。
自らの皮膚と肉を切り裂こうとした瞬間、刀が飛んだ。
そう、吹き飛ばされたのだ。
刀だけ綺麗に。
「何やってるんだ!」
「はっ…」
「嫁入り前の女の子が、自分を傷付けるだなんて駄目だろう!」
「かっ…竈門さッ!」
鬼の手が此方に迫ってきた。
竈門さんも気付いたようで、今度は突き飛ばされた。
体制は崩したが問題ない。
早く刀を取りに行かなければ…!
…!!
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作者名:櫻夢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Ymamihaa131/
作成日時:2019年9月8日 4時