変人少女二人組【鬼滅の刃】 (ページ11)

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最終選別編:捌噺＿捌話目ページ11

「どういう事かな？」

少しだけ、高揚したのような音が聴こえた。

彼女からは、何か聴こえるんだけれど、複雑でよく分からなかった。
だけど時々、心音、呼吸音、血の巡る音以外の全ての音が途切れる。
まさに空っぽ。何も無かった。

そんな彼女が、少し不気味でしょうがない。

それでも、俺の過去を話せば、少しはその音が分かるんじゃないかって。
君の空っぽの原因が分かるんじゃないかって思ったんだ。

「俺はな、昔から耳が良かったんだ」

ポツリポツリと、昔話を始めた。

「寝ている間に人が話していた事を覚えていたり、
　その人の考えが分かったり…普通の人間じゃ出来ない事を俺は出来た」

でも、だからと言って、褒められるわけでも、何でもなかった。
手に入ったのは〝異端〟という視線だけ。

「でもさ、俺信じたい人だけ信じてきたんだよ。
　だから借金してまで女に貢いだのに、違う男と駆け落ちする為の金だったんだぜ？」

「ふぅん」

興味の無さそうな声が聴こえた。

「で、その借金を肩代わりしてくれた爺さんが育手でさぁ…
　毎日鍛練、んで遂に今日最終選別来ちゃった訳…」

「成る程ねえ」

彼女と目が合った。

やっぱり綺麗だなぁなんて思っていると、
急にしつれーいなんて言って顔を触り始める。

「おぉ…君は太眉…うえ！？髪さらさら！！うっわしかも睫毛も長いなあ」

…どんな状態？

「君髪色って何色なの？あと目！」

「へっ？あ、えっと…き…金と…琥珀？」

「ほぉ…珍しいねえ！生まれつき？」

「鍛練中に雷に当たって…それで…」

「ぶっふぉ！www」

彼女が腹を抱えて笑い出す。
そういえば、ずっと笑ってるなあ…。
話聞いてるときも薄ら笑い浮かべてたし…。

もしかしたら、空っぽの原因はこれなのか？

「か…雷って…wよく死ななかったねぇっ…！w」

よくもまぁ人の不幸をケラケラと…。

少し苛ついた。

「…俺の過去話したんだから、お前の過去も話せよ」

「…聞きたいのかい？面白くも何とも無いけど」

「別に、俺の過去も面白くないだろ？」

と言うと「いやいや、超面白かった！」と爆笑しながら言ってくれた。
…喜んじゃいけないよなこれ。

「そうだなぁ…でも君は今借りを払ったばかりだけど、また借りを作るんだね？」

「は…借り？」

「そーそー、助けてあげたじゃん」

…俺、此奴苦手だ。

「まぁ良いよ、減るものでもないしね

　

　ただ、家族を失っただけ。それだけだよ」