149日目 待てる ページ24
・Noside
「エマ?」
フィルはすぐに探し出すことができた。
「話があるの…ハウスとママについて」
真剣な眼差しで前置きしたエマに、真面目な話だと感じ取り、入って来た時とは一転、懸命に話を聞くフィル。
一通り話終わると、開口一番にこう言った。
「やっぱり…そうだったんだね」
「え?」
これには4人も驚く。
__「もしあの日あなたが“収穫”を見たのなら」
「シスターが言ってた“シューカク”って何かなってずっと考えてた。
シスター、レイのひきだしあさったり、ノーマンがいなくなる日エマ ママのことこわがってた」
それも十分な根拠を添えて。
「そっか……ノーマンはシューカク……」
彼の中にあった仮説は事実へと変わった。
「コニーも…みんなも…だからエマは……」
祝意を表し重ねてきた家族とのお別れは、永遠のお別れだったのだ。
「フィル…!」
涙を零すフィルを抱きしめるエマ。
部屋の外からは楽しそうに燥ぐ声が聞こえる。
「今、2つの選択肢(道)で迷ってる。
今赤ちゃんまで全員(皆)連れて行くか、4歳以下を置いて行くか」
先程の説明はあくまで前置きでしかない。
「出荷されるのは満6歳から。一番誕生日が早いマーニャでも、最短あと一年半の時間がある。
それに上が16人も抜ける。「数より質」のGF(この)農園なら出荷ペースは必ず落ちる。
もう一度上物を育て上げるために、将来上物になりうる年少者はこの先今以上に殺せない。
その点、現4歳の6人はフィルを始めどの子も成績(スコア)は悪くない」
長くなってしまったが、つまりどう言うことか。
「どんなに短く見積もっても、2年の時間はあると思う」
「エマ、それって……」
第3プラントには5歳が6人。
仮にハウスに残す場合約一年で戻ってくることは出来ないだろう。
「待てるよ僕。だから置いてって」
ドンは勿論のこと、ギルダの心配をも笑顔で跳ね返した4歳の少年。
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作者名:水月 | 作成日時:2019年7月13日 23時