142日目 あの子達 ページ17
・イザベラside
せめて、せめて脳だけでも。
消化器を持って食堂に戻り、エマに下がるよう促す。
ロックピンを外して消化に臨むが、大してダメージも与えられずに尽きる。
「レイ……」
駄目だ、全然消えない。どんどん火が強くなる。
なぜ散水器(スプリンクラー)が作動しないの!?
レイの仕業!?
消化器ではダメだ、消火栓を開ける…!
他の子達がみんな逃げきれたか点呼もしないと……
ハウスをまとめる彼女がすべきことは、何もこの火を消すことだけではない。
ここは本来鬼のための食用児を育てる施設。商品がダメになってしまっては元も子もないのだ。
「エマ!あなたも早く逃げなさい、このままではあなたまで__ 」
しかし、そこに先程までいた彼女の姿は無い。
「エマ?」
迷わず発信器を取り出し、安否を確認する。
近くにいる……
そこで、脳裏を過ぎった可能性。
「エマ!?」
まさか……エマまで煙に…!?
「エマ!!」
映し出された表示に従い辿り着いたのは、足元の散らかった洗面台。
………
「……エマ?」
人の隠れられる十分なスペースなど無く、発信器が示す場所にあるのは一つのバケツ。
それを動かすと、確かにエマはいた。正確には切断されたと思われる彼女の左耳だけがあった。
__「レイ…レイ!!」
あの子、いや、エマだけじゃない……
声を掛けてきたギルダやハウスから逃げた子供を思い返す。
「あの子達何履いてた?」
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作者名:水月 | 作成日時:2019年7月13日 23時