あと11日 ページ19
結局昨日はタイミングを掴めずに、ジフンからシャーペンを返してもらえなかった。
普段は何気なく使っているものでもいざ手元にないと落ち着かなくて、今日の朝も思い出した瞬間に心がずんっと重く感じた。
――何が何でも今日取り返さないと…。
「ジフニ、自販機行こうぜ」
「ねえジフン、コミュ英の宿題忘れちゃったんだけど…最後の問題だけ見せてくれない？」
「ジフンちゃんよー、今購買空いてるから昼買いに行こー」
素晴らしいくらいに彼には隙がなかった。
今まで気にしたことがなかったからわからなかったけど、想像以上にパクジフンという男はザ・人気者で、朝のホームルーム後から今の昼休みまで、ずっと誰かが入れ替わり立ち代わりで傍についていた。
…これが毎日って、かなり大変な気がする。
それでも嫌なそぶりを少しも見せることなく二つ返事で引き受けるジフンって、正直すごい。
――って感心してる場合じゃなんだって。
昨日と同じように私の机の前に来たウジンと一緒にラウンジに向かう時も、役者で台詞の練習をしている時も、私はどうやって彼に近づくかだけを考え続けていた。
そんなわけで、今日の練習も私はぼろぼろだった。
台本を見ながら進めているのにしょっちゅう台詞を読むのが遅れて、テンポを崩してしまう。特に王子との掛け合いは最悪だった。
ジアは大丈夫と何回も言ってくれたけど表情は焦っていたし、小人役のみんなも不安そうに私のことを何回も見た。
――どうしよう、すごく迷惑かけてる。
「A、なんか緊張してる？」
私の調子がおかしいことに気付いてくれたウジンが不思議そうに聞いてきたけど、どう説明すればいいのか全くわからない。私はごめん、としか口に出せず制服のスカートの裾を握りしめるばかりだった。
「じゃあさ、放課後僕と一緒に練習しようか」
みんなの視線が、私からジフンに移るのが空気感でわかった。
「部活は？」
「毎週火曜は休みだから」
ウジンの問いかけに丁寧に答えてから、彼は私のことを見つめて、なぜか、どういうわけか、何を思ったか、
――ウィンクした。
なにこいつ！？！？
周りを見回したけど、みんな私がなんて答えるかに関心が移っていて、既に視線がまた私に集まっていた。今のを見ていたのは私だけみたいだ。なんなの…。
…もちろん嫌だけど、これ以上迷惑かけられないし、シャーペンを返してもらえるチャンスだ。
「やるよね」
「やります」
念を押すようなジフンの言葉に、私は即答していた。
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加賀島京(プロフ) - ナギさん» コメントありがとうございます。あたたかいお言葉とても嬉しいです；；前回の更新から時間が経ってしまって申し訳ないです……。楽しみにしていただいているのにすみません！必ず完結はさせますので、これからも読んでいただければ嬉しいです。 (2019年5月9日 3時) (
レス) id: 8ab02f0b4e (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 久しぶりの投稿ですね！嬉しいです。ゆっくりでも全然構わないので完結まで持ってきていただけると嬉しいです……無理ない程度に頑張ってください！ (2019年3月31日 23時) (レス) id: b8f2817426 (このIDを非表示/違反報告)
ARMY - 明けましておめでとうございます！ワナワンも解散で、ほんとに悲しいTTワナワンのことも、忘れないし、加賀島京さんの、作品も、忘れません！今年も、更新楽しみにしてます！ (2019年1月3日 21時) (レス) id: ea329e26cd (このIDを非表示/違反報告)
加賀島京(プロフ) - ARMYさん» わかります、なんでもこなしてしまうデフィが本当に本当に好きで…(;_;) …ああ、そんなことを言っていただけるなんて…本当に嬉しいです…ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年1月1日 23時) (レス) id: 7b34f080ca (このIDを非表示/違反報告)
加賀島京(プロフ) - 空さん» ありがとうございます…！空さんの作品を読んでいると、私もヒョンソプを動かしたい…！と思って、つい登場させてしまいました(^^;面白いと言っていただけて本当に嬉しいです。あと、ゆらぎの中でセウンが登場したことに興奮してしまいました、、ありがとうございます、 (2019年1月1日 23時) (レス) id: 7b34f080ca (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年11月23日 0時
