呪詛 ページ21
時雨side
原
｢霊を呼ぶものではありませんわ。｣
ナル
｢そうだ。藁人形のせいで霊が出没したりなんて事は＿＿＿ハッ、リン！時雨！｣
リン
｢はい。その可能性はあります。
現に時雨が言った予想は、当たっていますので。｣
時雨
｢うん。今式達に捜索させてる。
見つかり次第、ナルに報告して見に行くわ。｣
滝川
｢っ、どういう事だよ。｣
ナル
｢何故今まで気が付かなかったのだろう、時雨が予想まで言ってくれたのにか....
これは、呪詛だ。｣
麻衣
｢呪詛.......？｣
ナル
｢この学校の中で、人を呪う為の呪法が行われている。｣
滝川
｢マジかよ。｣
松崎
｢でも、呪詛と霊となんの関係があるの？｣
時雨
｢藁人形の様な人型に釘を打つ呪法の事よ。
これは、元々陰陽道から来たとされている。｣
私はナルに、合図をうった。
ナルは頷き、続きを説明した。
ナル
｢そうだ。麻衣の為に簡単に説明するが、陰陽道には人を呪う為の魘魅と言う方法がある。
ヒトガタや呪う相手の持ち物を使う呪法で、藁人形に釘を打つと言うのはこの魘魅の術だ。
藁人形は、単に釘を打った人間の恨みが伝わるだけで、相手に害をなすのでは無い。｣
ナルは、話疲れたのかリンに合図を送った様子だ。
リン
｢ｺｸｯ)呪者、つまり呪いを行う人はヒトガタに釘を打つ事で、神や精霊に呪殺を頼みます。｣
麻衣
｢呪殺....？｣
麻衣の視線はリンではなく、私に向けられてきた。
時雨
｢では説明するね。神や精霊はそれを受け入れてしまい、相手を呪殺に向かう。
つまり、呪者は魘魅の方を行う事によって、神や精霊....最悪、悪霊までもが刺激する事になりかねません。｣
これで今起こっている事件は、全て説明できる。
麻衣
｢それじゃあ、呪いの机も吉野先生を襲った手もあの天井から現れた女も、皆悪霊の仕業？｣
ナル
｢誰かがこの関係者に対し、魘魅の方を行い呪われた相手の前に、悪霊が訪れる。
悪霊は1晩で相手を殺す力は持たず、苦しめながら徐々に相手をタヒに導く。｣
ジョン
｢そうした事が学校中に次々に起これば、神経質な人やったら、影響を受けてしまいますやろね。｣
ナル
｢そう。極端な例が、あの狐憑きの女だ。｣
確かに、砂を食べたり、寒い日にプールに飛び込んだり、突然机に乗ったり......
ナル
｢かくして、学校を上げての大騒動になってしまった。と言う訳だ。｣
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作者名：トラ | 作成日時：2019年6月1日 18時
