ベースに現れた女 ページ19
時雨side
その扉からはナルが入ってきた。
麻衣は「なんだ、驚かせないでよ」と言うように、胸を撫で下ろした。
時雨
「あらナル、相当手こずってるみたいね。」
ナル
「時雨だって、ヒトガタ探しに式神を放ってから随分経っているみたいだが。」
ナルにそう言われ、私は「うっ」となった。
空気を読んでくれたのか麻衣は、「お茶入れるね。」と言って私とナルの二人分を入れてくれた。
ナルは、入れてもらっている間資料を見返していた。
私は、なんか嫌な予感がした。邪気でもなく、幽霊に似た何かの気配がした。
私がそう思っている間、ナルと麻衣は2人で会話をしていた。
途中ナルが、黙って天井を見つめていたのでその天井を見たら予感が当たった。
天井から幽霊ではない、それに似た女が逆さ状態になって降りてきた。
ナルは瞬間、麻衣を黙る様に指示を出し、守る様な体制で立っていた。
時雨
「結!!滅!!」
私は、とっさにその女を結界で囲って、滅した。そして、その女は消えた。
同時に滝川さんが勢い良く入って来たが、「ありゃ?」という顔をしていた。
時雨
「ふぅ、とうとうここにも現れるようになったわね。.....いや、現れるようになったと言うより、何かを狙って現れたわね。」
ナル
「ああ....」
滝川
「大丈夫か?麻衣?」
ふと麻衣に視線を送ってみると、座り込んでいた。腰が抜けたようだ。
時雨
「.....麻衣?」
麻衣に声をかけると、麻衣は顔をバッとあげ、私と滝川さんを見てこういった。
麻衣
「あれ、ナルを狙ってるんだ。」
滝川/時雨
「なんだと!?/えっ!?」
すると麻衣は立ち上がり、ナルに視線を送った。
麻衣
「今の女、この部屋じゃなくナルに現れたんだよ。昨日、夢で見たの。
学校中にいっぱい鬼火がいて、あいつはその内の1つなの。
なんで分かるのか分かんないけど、でもそうなの。
あの女の目...あの血に飢えたようなあの目で、あいつはナルだけを見ていた。」
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作者名:トラ | 作成日時:2019年6月1日 18時