笠井さんの話 ページ12
麻衣side
それに続けて、笠井さんはナルに「出来るの？」と問いかけた。
ナル
｢出来ます。
PKを信じない心霊研究者などいません。｣
笠井さんは、まだ驚きを隠せない顔をしているが
正気を取り戻し、テーブルにあったスプーンを取り、ナルにスプーンを渡す様な仕草をして言った。
笠井
｢やって見せて。｣
と笠井さんは、ドヤ顔みたいな顔でナルに言った。
対するナルは、ため息混じりに「仕方ないか...」といい、スプーンを受け取り.......なんと！？スプーンを曲げた。
曲げた後は、スプーンから曲がった部分が折れてしまった。
それを見た笠井さんは、絶句した。
数分後、笠井さんから話が聞き出せた。
笠井
｢夏休みにテレビの深夜番組を見てたの。
そこでスプーン曲げをやってて...それで何となく真似している内に、曲げられる様になったんだ。
あんたみたいに折ったりは出来ないけど....｣
笠井さんは、俯いたままで話した。
ナル
｢３ヶ月経って、今も出来ますか？｣
笠井
｢出来るわよ！うん！(スプーンを取る｣
笠井さんは、乱暴にスプーンが立ててある入れ物の中身をとり、スプーンに意識を集中させた。
見ている内に、笠井さんの姿勢は見る見る内に丸くなっている....まるで、スプーンを椅子に擦りつけているみたいな....
ナル
｢そんなことをしてはダメだ。
椅子の縁にスプーンを当てて曲げようとしたね？
そうゆうトリックを1度でも見つかってしまうと、信用されなくなる。｣
笠井
｢違うわ！本当に出来るんだから！｣
笠井さんは、そう言うとナルを睨んだ。
それを構わず、ナルは説明を続ける。
ナル
｢超能力者に影響を受けた者の力が不安定なのは、研究者なら誰でも知っている。
出来ない時は、出来ないと言っていいんだ。
それで信用しない人間は、頭から信じる気が無いんだから無視していい。｣
笠井
｢そんなこと言ったって、出来なかったら何言われるか分からないじゃない。
恵先生だって、私を庇ったせいで他の先生達から白い目で見られて.....｣
ぐっと膝上で拳を作って震えている笠井さんに、産砂先生は近付いて笠井さんを慰めるように言う。
産砂
｢あ、私のことはいいの。
私は、彼女が可哀想で、余りにも皆からの否定されて...｣
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作者名：トラ | 作成日時：2019年6月1日 18時
