12話 ページ12
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大ちゃんは俺の涙になにも言わず、ただ横を歩いていた。
「ありがと。大ちゃん」
見過ごすにはあまりにも難しい。だけど気になる。
そんな気持ちの狭間で揺れ動いているみたいだった。
大ちゃんは優しい。
だから思い出さずにはいられないんだ。
無邪気に笑っていた、あの横顔を。
ar「なんかあったの。……光くん、あんまり弱味とか見せないじゃん?」
控えめに聞いてくるその顔には、やっぱり笑顔が一番だよ。
大ちゃんには、似合わないよ。
ar「あの人の、こと、だったりする?」
俺がなにも言おうとしないから、聞いていいのかどうか不安なんでしょ。
いいんだよ。大ちゃんはなにも考えず、5歳児みたいに笑ってればそれで。
「なんでもないから。ね?」
ar「でもっ、俺知ってるし───」
「もう終わったんだよ。あいつとも、過去の俺ともお別れ」
ar「そうだけど……」
「なんで大ちゃんが泣くんだよ笑」
大の大人が二人して横並びで泣いてたら可笑しいと思われるだろ。
特に大ちゃんは子供なんだからさ。←
ar「いつでも相談していいからね?大体の仕事は午後に来るから、それまでなら全然」
「うん。分かったから」
分かったから、それ以上優しくすんなって。
「また泣きたくなるだろ」
あいつは死んだ。
いいんだよ。もうそれで。
いつのまにか駅に着いた。
大ちゃんは真逆の線だから、改札でお別れ。
ar「また明日。目腫らしてたら伊野ちゃんにすぐバレちゃうからね!」
「うん………頑張る」
ar「うん!」
ホームに着いても大きく手を振ってくるから、いつもだったら振らないけど、そっと振り返しておく。
あの子供っぽいところに、いろんな人が助けられてるんだなって思うと、やっぱり大ちゃんはこの仕事に合ってるなって感じる。
俺は………どうなんだろ。
ちゃんと全うできてるのかな。
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柊(プロフ) - コメントありがとうございます!励みになります。どんどんハマってってください笑 (2018年12月31日 0時) (レス) id: dea4eacb95 (このIDを非表示/違反報告)
Aya - このお話、めちゃくちゃおもしろいですね!どハマりしちゃってます笑更新待ってます(^-^)頑張ってください!! (2018年12月30日 21時) (レス) id: 405da91ea5 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - いちごらいすさん» わざわざコメントをいただけて嬉しいです。長文welcomeですよ!私も大好きな作品の作者様からコメントなんて………感無量です。自信がつきました。応援してくださりありがとうございます!これからも思わず笑みが溢れるような作品を目指して。よろしくお願い致します! (2018年12月15日 23時) (レス) id: dea4eacb95 (このIDを非表示/違反報告)
いちごらいす(プロフ) - それだけ伝えたくて…すみません笑 これからも更新楽しみにしています。頑張ってください!応援しています!長文しつれいいたしました… (2018年12月15日 19時) (レス) id: ec43b8c35c (このIDを非表示/違反報告)
いちごらいす(プロフ) - はじめまして!先日私の、やぶこーた、占ツク始めました。という作品にコメントくださってありがとうございます!とっても嬉しいコメントだったので梓さんのプロフィールに飛んで見たところ、お気に入り登録している大好きな作品の作者さんで驚きました! (2018年12月15日 19時) (レス) id: ec43b8c35c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2018年12月5日 0時