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蝶が七匹 ページ8

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屋敷へ帰る道中、たくさんの荷物を持つお婆さんや変な輩に絡まれている女の人を助けたりとしていると、屋敷へ帰ってくるのが予定よりもかなり遅くなってしまった。
既に日は沈み、月が顔を見せている。


「お土産を買って帰ってきたはいいけど、珱姫からの怒りは買ってしまっているだろうなぁ……」


仕方がないと諦め、そっと静かに屋敷の中へ入り、珱姫の部屋の中へ入った。


「珱姫、戻りました。遅くなってすみません」

「っ…!?季花!?気配を消して後ろに立たないでと何度も言ったでは無いですか!」

「あー……それは、すみません。気配を消すのは癖みたいなものなので……なるべく気をつけてはいるんですけど……。あぁ、それとこれ、お土産です」


怒る珱姫の目の前に団子屋で買ったお土産を差し出す。


「お土産、ですか……」

「はい。三色団子とみたらし団子を買ってきました。とても美味しいですよ?」

「季花が言うほどなら本当に美味しいんでしょうが……お土産を買っているだけでこんなに遅くなりますか?普通」


ムスッと頬をふくらませ、拗ねる珱姫に思わず苦笑が零れた。


「すみません、珱姫。実は……」


遅くなった理由を言おうとしたその時、遮るように戸を軽く叩き、一人の陰陽師が戸の奥に姿を見せた。


「姫君と護衛殿、御無礼つかまつる」

「入りなさい」


珱姫が部屋に入ることを許可すると、部屋の中に入り、一度頭を下げた。


「陰陽師の、どうかしましたか?」

「はい、姫君と護衛殿にお渡ししたい物が」

「渡したいもの、ですか?」


珱姫と顔を見合わせ、首を傾げると陰陽師が二本の刀を私と珱姫の前に差し出した。
差し出された二本の刀を睨みつけるようにすっと目を細め、見つける。


「失礼ですが、この刀は?」

「姫君と護衛殿、こちらは退魔刀に御座います。姫君と護衛殿……この退魔刀をお持ちください」

「退魔刀……?」

「私なら理解出来ますが、なぜ珱姫にも?」


理由(わけ)を話せと圧をかけるように布面越し見つめると少しの怯えを隠すようにゴクリと喉を鳴らし、理由を話し始めた。


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作者名:。ななし | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月13日 11時

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