蝶が六匹 ページ7
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気を落ち着かせるためにふぅ、と静かに小さく息を吐き、他に妖の気配がないかを探っていると珱姫の父に花開院家の陰陽師と共に怒りを貰った。
「高い金を払っているのに
「その為に私は外で待機しています。できることはしていますが、私は陰陽師ではない普通の人の身であります。ですのであまり期待はしないでください」
一体私に何を期待しているのか。
不思議な力を持ってはいるが、それを珱姫以外に見せたことはない。
珱姫の父や花開院家の陰陽師達に見せたことは一度も無いのでそれを知るよりもない。
故に珱姫の父と花開院家の陰陽師達の中では私は普通の人とされていると思っている。
珱姫の父の言葉をさえぎり、普通の人の身である以上のことは出来ないと遠回しに伝えると何も言えないのか、黙りこくってしまった。
花開院家の陰陽師は更に手練の陰陽師を増やし、結界も強く張らせると言っていた。
息絶えた妖に手を合わせている珱姫の隣にしゃがみ、息絶えた妖を両手で持ち上げた。
「珱姫、この妖のお墓を作ってきますね」
それだけを言い残し、屋敷を出た。
屋敷から離れ、人気のない林の中。
息絶えた妖を掘った穴の中に入れ、上から優しく土をかけ、石を上に乗せる。
「おやすみ、来世では人に迷惑をかけない妖になるといいね」
手を合わせていると、ここ最近の悩みの種の視線を感じた。
「いい加減に見てるだけじゃくて姿を見せたらどうです?」
警戒をしながら立ち上がり、周りを見た渡す。
視線は感じるのに気配がない。
少しの気味悪さと気配のない視線の主を不思議に思っていると、視線を感じ無くなった。
「……視線が消えた?一体なんだったんだ……」
少しの気味悪さと疑問を抱えながら、その場を後にして、屋敷に戻った。
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