漆黒の禍狗はパパになったようです

お宮参り 1 ページ30

(生後1ヶ月位です)
(時間が前後して申し訳ありません)
5月になり、木々の若葉が生い茂り、大分過ごしやすい頃になった。

ヨコハマのとある由緒ある神社に、一組の夫婦と色無地紋付きを着た美しい女性、そして女性の腕の中に赤ん坊が一人いた。

赤ん坊の名は芥川治春。芥川譲りの柔らかな黒髪に、A譲りの大きな菫色の目をした、とても愛らしい女の子だ。

今日は、治春が生まれて1ヶ月程立った為、芥川家とポートマフィア幹部、尾崎紅葉とでお宮参りに来たのだ。

龍之介とAには親がいない為、二人にとって親の様な存在である紅葉が治春を抱いている。

紅葉の腕の中で、白いレースのベビードレスに身を包み、花柄や手毬、小鼓などの柄が可愛いらしく描かれた紅色の祝い着をかけられた治春は、今日は初めての本格的な外出だ。

天気も良く、ぽかぽかと心地よいせいか、治春は神社に着いてからもぐすりもせず、菫色のつぶらな瞳をきょろきょろとさせていた。

「お主ら、今日はこんな良い天気で良かったのう。ほれ、治春の機嫌も良さそうじゃ」

紅葉はそう云って、治春に笑いかける。

「ぁ、ぅ………ぅー」

治春も紅葉に笑いかけられたのがわかったのか、ふにゃ、と笑う。最近は龍之介やAにあやしてもらうと笑うようになってきたのだ。

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