漆黒の禍狗はパパになったようです

誘拐　1 ページ13

りん様、リクエストありがとうございます！
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Aside

「治春ちゃん、今日の晩ご飯はクリームシチューだよ〜」

「ちゅー！」

買い物の帰り道、ベビーカーに乗せた我が子に声を掛けると、治春ちゃんは目をきらきらと輝かせた。

家に帰る足取りが少し軽く感じるのは、今日は大好きな夫、龍之介が早く仕事から帰って来る為、久し振りの家族団欒が楽しめるからかもしれない。

「…失礼します。其処の奥さん」

突然、スーツを着たサラリーマン風の男に声を掛けられた。

「どうしたんですか？」

私がベビーカーを押して近づくと、

「…お前達には少し眠っていて貰う。…芥川A」

と、云うなり、バチッ！という音と同時に体に衝撃が走った。

「ガっ…！」

スタンガンを食らったと気づく迄、少し
時間がかかった。そして、其の場に倒れた私は治春ちゃんと一緒に、何時の間にか着いていた黒い車の後の席に放られた。

「う…うぅ…」

「大丈夫…大丈夫だよ…ママがいるからね。」

薄れゆく意識の中泣きもせずじっと震えている治春ちゃんに声を掛け続けた。

芥川side
「此れで今日の任務は終いか。」

とある組織の裏切り者を始末し、端末を確認する。待受画面の妻と其の腕の中の我が子に思わず頬が緩む。

今日は仕事が此れで終わりである為、久し振りに愛しい妻と愛娘と共に過ごせるのだ。

「芥川先輩…！Aさんと治春ちゃんが…！」

突然、樋口が駆け寄って来た。

「…！何か有ったのか」

其の真っ青な顔色から、唯ならぬ事があったのだろう事が解った。

「…誘拐、されたみたいです。恐らく、先程始末した組織の残党に。」

「…黒蜥蜴と遊撃隊員全員を総動員して探せ。…僕が、手を下す。」

怒りを抑えながら、樋口に伝えた。

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