【鬼滅の刃】元氷柱の継子 (ページ15)

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第拾参話ページ15

俺の事を必死で呼ぶ声

何回も何回も叫んでいる

「っ…兄ちゃん!!」

『炭治郎…!!』

「しげ、る…。それに、A…?」

茂の声と重なる様に

彼女の声も聞こえた

嗚呼。此処で俺は寝ている訳にはいかない

「倒れる訳には、いかない…!!」

目を覚ますと、目の前ではあの鬼と彼女が戦っていた

彼女の実戦を見るのは正直なところ初めてだ

『目が覚めたんだね炭治郎、』

そう呟き小さく笑った彼女。でも直ぐに鬼へと向き直る

『…確実に首元を狙って。私は炭治郎に合わせて、敵の足止めをするから』

「……分かった」

彼女は俺よりも遥かに強い

初めて出会った時、彼女の匂いで直ぐに分かった

俺は改めて息を吸い込む

その時、土から変な匂いがした

彼女もそれに気づいたようで、俺達は空中へと舞う

『此方は私に任せて。絶対に炭治郎の邪魔なんてさせないから、』

俺は彼女の言葉を信じ、鬼の首元へと走り込む

首元は腕に覆われているけれど、隙の糸は見える。俺は隙の糸を辿るように鬼の首を斬った

ごろん、と落ちる首。崩れ去っていく体

嗚呼。この鬼からは悲しい匂いがする

「神様どうか、この人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんように…」

まるで誰かに向かって差し伸べている手を、優しく握り締める

『……大丈夫だよ、炭治郎。彼はきっと次に生まれてくる時は鬼になんてならないよ』

そう呟き、彼女も手を握りしめた

彼女は俺の傷を見て判断したのか、最終日まで一緒に行動する事にしたらしい

そして、あっという間に山での七日間が過ぎた