小噺･弌 ページ28
『ねえ、長義』
「どうした。上にある書類に手が届かないのか?」
『うん。それもあるんだけどね、』
今、私は長義と一緒に書類整理をしている
本当は山姥切と一緒にやるはずだったんだけど、急遽遠征に行くことになってしまい今に至る
別に他の男士でも良かったけれど、まだ来てから日が浅い長義と一緒に過ごしたかったのかもしれない
『長義って、私と昔会ったこと無い?』
「……会ったことは無いな。記憶違いなんじゃないのか?」
『んー…。そっか、』
彼女はまた、書類へと目を戻す
今、俺は嘘を付いた。昔、一度だけだが彼女に会ったことがある
それはまだ、彼女が審神者になりたての頃。彼女は一人でよく近所の神社で遊んでいた
『えっと…これをこうして…』
「あの子がホシイ、」
「アノコじゃ、わからん」
『だれかいるの…?』
何処からか聞こえてくる不思議な声
「相談シマショ」
「ソウしましょ?」
花いちもんめに合わせて現れたのは、数人の子供達。でも、可笑しな事に皆仮面を着けて顔を隠している
「ねえ、キミの名前は?」
『わ、たし…?』
「そう。キミの名前、教えて?」
数人の子供達の問いに答えるように彼女の口が動き始める
それを遮るかの様に、俺は彼女の口を手で塞いだ
「名前を教えてはいけない」
『どうして…?』
「今は言えない。目を閉じたら、俺が三秒数える。そしたら、目を開けてくれ」
『うんっ!』
彼女は俺の言う通り、静かに目を閉じる
そして、俺が三秒唱えると
その場から彼女の姿は消える
「……せっかく見つけたのニ」
「付喪神ノ分際デ……」
「……お前達にあの娘は渡せない。将来、俺の」
とんとん、と肩を叩かれ
何処かへと行っていた俺の意識は戻される
『長義、大丈夫?』
「嗚呼、大丈夫だ。少し、考え事をしていた」
『そっか。でも、書類の片付けも一段落したし休憩しよっか』
彼女は御茶と茶菓子を取りに、台所へと向かった
「……俺は幸せ者、だな」
彼が小さく笑った瞬間
ふわり、桜が舞った
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出雲*弐式(プロフ) - くれは卍さん» コメントありがとうございます。頑張って更新しますので、引き続き読んで頂けたら嬉しいです(*^^*) (2019年3月19日 0時) (
レス) id: 7c455c0dc7 (このIDを非表示/違反報告)
くれは卍(プロフ) - この小説もっと読みたいです！これからも頑張ってください！続き楽しみにしてます!! (2019年3月19日 0時) (レス) id: 325596c204 (このIDを非表示/違反報告)
出雲*弐式(プロフ) - 天音朱宇さん» いえいえ！ 引き続き読んでいただけたら嬉しいです(*^^*) (2019年1月8日 23時) (レス) id: 7c455c0dc7 (このIDを非表示/違反報告)
天音朱宇(プロフ) - 出雲*弐式さん» 急なコメントでの指摘ですみません。更新頑張ってください (2019年1月8日 22時) (レス) id: caeec976d7 (このIDを非表示/違反報告)
出雲*弐式(プロフ) - 天音朱宇さん» 多分、ミスですね。指摘ありがとうございます。 (2019年1月8日 21時) (レス) id: 7c455c0dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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