優等生くんの裏の顔【knmc】

33:泣かないで ページ33

意識がハッキリとし始めると、全身の痛みに襲われた。
鋭い痛み、鈍い痛み。全て。






「う、ぅぁ…」






まともに体を動かせない。
なんだ、何が起こっていた。





「なに？どうした？」





目の前…正確には私の上にいる剣持君が顔を覗き込む。
視界はまだハッキリしないため、ぼんやりとしかわからない。



「全、身いたい。動けない」



私の言葉を聞いて剣持君は飛び降りた。
少しずつ明確になっていく視界で部屋を見回す。

…ひと言でいうなら、惨劇。







一体何が。
…けれど、少し考えればわかった。




この部屋は鍵が内側からかかっていた。
そして、兄だった人物は…。





「こ、れ。全部わたし、？」




視線だけを剣持君に向ける。
よく見れば、彼の顔や腕にも傷がついていた。
打撲痕などはわからないが、引っ掻き傷はきっと私だ。

痛みに堪えながら自分の両手を視界に持ってくる。




…右手の爪に赤色が付着している。




両手にこめていた力を一気に抜いた。
腕はだらんと支えを失い、床に叩きつけられる。









「君じゃ、なかった。違った」


「見た目が私なら、それは私だよ」









剣持君は私の目に手のひらを被せた。
視界が暗くなると同時に熱いものが溢れ出る。







　











「奴らは、自分達が作ったもので死んだ。事故だ。



　………だから、泣かないで」







「けんもちくん、どうしよう。私、自分がこわい」





私って誰なんだろう。
私の中にも別の私がいるんだ。

じゃあ、今の私は誰？






「…Aにいい事、教えてあげる」





剣持君が優しい声で囁いた。

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