鈍感にも程がある【JK】

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それからも相変わらず俺はAと普段通りに話す事がなくなってしまった。俺はAを避けちゃってるし、Aも最低限の会話しかしに来ない。



Aの片想い相手も誰か分からずじまい。



キャンパスでは俺とAが別れたという噂が広まったみたいで、1人でいる俺に話しかけてくる女子大生が増えた。相変わらず俺の顔はいいみたいだから。



この間は胸元がざっくり開いた大人っぽい人から。一昨日は甘めのふんわりスカートが似合う可愛い子から。そして昨日はリップの濃いサラサラストレートの美少女から。



どれもピンと来なかった。どんなに言い寄られてもついついAの方がいいと比べてしまう。Aの気の強そうな瞳が良い。ダンスをする為に鍛えた引き締まった身体が良い。



「すみません。俺、用事があるんで。」



カタンと席を立った。今日は毛先がくるんとした茶髪の可愛い子からラウンジで声をかけられたのだ。



俺があまりにも興味無さそうに、そして面倒くさそうにあしらったからか、茶髪の女子は納得がいかないとでも言うように俺を引き留める。



「貴方、この間彼女と別れたらしいじゃないですか。傷心中なら話だけでも聞きますよ。この後一緒にお茶どうです？」




「…どこ情報っすかそれ。別れてないんで。」



そして馬鹿にするように笑ってみせたら、声をかけて来た子は顔を真っ赤にしてぷりぷりしながら去っていった。そりゃあ別れてないよ。そもそもの話付き合ってないんだから。



自分で言っといて自分で傷つく。Aの事を思い出さないようにしてるのに、いつだって心のどこかにAがいる。



恋愛なんてくだらないと思ってたのに。Aのせいで恋にぶん回される事になるなんて思いもよらなかった。



俺はこのように女の子から好かれるし、当然Aも俺の事を好きになるだろうと思ってたから。



自惚れだ。Aは人を顔で選ぶような奴じゃない。ちょっと優しくしただけじゃ靡いてくれない。お前の1番になりたいのに、お前の1番は俺じゃない。



こんな恋ならしたくなかった。知らなかった。片想いがこんなにしんどいなんて。





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