鈍感にも程がある【JK】

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「好きな人ができたの」



頭を鈍器でガツンと殴られたような気がした。こいつ、今、なんて。



ある日曜日の事だった。服を買いに行くのに付き合って欲しい、とAを誘った。別に1人でも買いに行けるのに、「俺が買うと皆服がダサくなるんだよ。お前のセンスが必要だよ、助けてくれ」なんて出来ないフリして。




そうでなくてもAの好みの男になれるんだったら出来ないフリくらい喜んでやる。この誘いは今に始まった事じゃないからAも二つ返事で了承してくれた。




ショッピングモールで待ち合わせをして、メンズ物の服屋を回って、Aの化粧品選びにも付き合って。




デートみたいだ。Aはそんな事思ってないだろうから、これは完全に俺の自己満。傍から見たらカップルにしか見えない。



美男美女カップルだねって通行人が囁くのが聞こえる。そうだろうそうだろう。付き合ってないけど。そう考えると一気に寂しくなる。また俺だけがAを好きだ。



そんなこんなしてるうちに時刻は午後6時に差し掛かって。折角だから夕飯も食べて行こうか、とレストランに立ち寄る。




ご飯を食べ終わって、何となくだべってた時だ。



事件の始まりは俺の一言からだった。



「A、なんか痩せた？」



「え」



「前よりか顔がシュッとしてきたなって。」



Aは以前より目に見えて痩せてた。不健康的にって程じゃない。むしろ前より綺麗になった。



前々から美容には気をつけてる奴だったが、今俺の目の前にいるAは一段と綺麗になってる。くびれ辺りでキュッと締まってるタイプのグレーのワンピースを着ていて、そのくびれが女優のように細い。



そう、服の系統も変わってる。今まで俺と遊びに行く時なんてワンピースなんか滅多に着てこなかったのに。どちらかというと自分が楽しみたいだけのお洒落をして来てた。のに。



「大丈夫？ご飯食べてんの？なんか無理してる？」



食欲不振なのか。嫌な4文字が頭をよぎってしまって質問攻めしてしまった。なにか精神的に病むことがあったとか。もしかして今食べたこのレストランの食事も無理して食べてたのか？



必死な俺に驚きながらもAはケタケタ笑って否定した。



「違う違う！ダイエット始めたんだよ。」



「ダイエットぉ？別に太ってなくない？」



ひたすら疑問。なんで急にそんな。いや今も前も綺麗だけどさ。



「うん…この際だから、ジョングクに言っとくか。」




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