第五十五話 ページ8
「…………」
互いを無表情のまま見つめ合う少女と鍾離。
彼女のなかにずっと残っていた疑問。
結局、鍾離という男の正体が岩神モラクスなのかどうか。
どうやらその答えは、鍾離がここへ来たことで確信へと変わったらしい。
少女の問いに対して、少しの間無言でその顔を見た後、「あぁ」と鍾離は頷いた。
「詳細は公子殿に聞いてもらえると助かるが、確かにここまでのことは全て俺の予想通り……いや、予想以上の結果だった」
鍾離の目的を知らない少女にとって、何が予想以上だったのかは分からない。
しかし、逆に分かったこともあった様で、彼女は忌々しげに相手を睨んだ。
「ーー公子を……騙したのですね」
いつもより低い少女の声には、殺意が含まれており。
その一言には、罪人を責める様な……冷たく重たい感情がのしかかっていた。
「…………」
鎖に繋がれた番犬の様なその存在を、鍾離はどこか興味深そうに見下ろす。
今もし彼女の体に自由がきいていたら、相手が誰であろうと噛み付いていたのだろう。
「……お前の大切な者を騙したことは謝ろう」
何故、少女はそこまでタルタリヤを敬愛しているのか。
気になりはするものの、そこを突くことなく、彼女を落ち着かせながら鍾離は話を元に戻す。
「お前を利用したことも、だ。正体を隠さなければならない状況のなかで、判別出来てしまう存在が出て来た以上誤魔化さなければいけなくなったからな」
(私が勘づいていたことも知ってるんだ……)
どこまで見透かされているのか分からず、冷静さを取り戻したものの一層未知である相手を警戒する少女。
「そこまで俺の言葉や動き一つ一つに機敏になる必要はない。……もう神の心はそちらへ渡った」
そんな彼女の心境を知ってか知らずか、鍾離は神の心が既にファデュイの元だということを明かした。
「……矢張り諸々の件は解決しているんですね」
どうやら少女がベッドに居る間に璃月での抗争は終幕を迎えたらしく、自分も聞きたかったと内心嘆く。
(まぁ、そっちの詳細は公子に聞くとして、今は……)
伏せていた視線をちらりと上げれば、そこには未だ行動の裏が掴めない相手。
「それで、鍾離先生は何故ここへ来られたんですか？」
ようやく切り出せた質問は、自身がモラクスだと認めたうえで、彼がこの場へ来た理由。
何もかも手のひらの上だった少女からしてみれば、それがいまいち掴めずにいる様で……。
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やみくも(プロフ) - もなかじゃんぼさん» お褒めの言葉本当にありがとうございます！お二人のような関係性が自分も大好きなので、分かってくださる方がいて下さって嬉しい限りです( ˃ ⌑ ˂ഃ )ありがとうございます！！！！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 4ee0636c47 (このIDを非表示/違反報告)
やみくも(プロフ) - ぱぁわさん» 返信が遅くなり申し訳ございません！応援のコメント大変励みになります！ありがとうございます<(_ _)>ゆったり更新になってしまっておりますが、またお時間ある時に見て下さると幸いです！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: 4ee0636c47 (このIDを非表示/違反報告)
もなかじゃんぼ - 凄く凄くいい。このじわじわとくる、相手の腹を探るこの関係！！！！凄すぎる！！！どうやったらこんなストーリー思いつくのか！！！！！とても面白いです！更新頑張ってください！！！ (2022年5月16日 1時) (レス) @page18 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁわ - 続き待ってます。頑張ってください！！ (2022年5月7日 23時) (レス) @page16 id: 2211ccb7f8 (このIDを非表示/違反報告)
ももは - 自分のペースで頑張ってください、！！ゆっくり待ってます！(*´ω`*) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 563d44d02c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やみくも | 作成日時：2022年2月27日 0時
