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第五十九話 ページ12

「思ったよりも早かったみたいだね」

いつもと変わらない笑みでひょっこり入って来るタルタリヤ。

それを見た少女は、先程までの不安が全て消し去ったかの様に体の力が抜けていた。

彼女のいる部屋へ来るまでの時間が、鍾離とほとんど会話をしていないとしても早過ぎる為、矢張り近くに居たのだろう。

「すぐに終わる話でしたので。それより……」

『すぐに終わる話』の内容をタルタリヤに教えたくない少女は、さっさと自分が横になっていた間の出来事を聞こうとする。

……が、どうしてもタルタリヤには適わなかった。

「で、鍾離先生とは何を話していたのかな?」

にこやかな笑みと共にさらりと聞かれ、少女は開いた口をぐっとつぐむ。

先に話題を変えて、鍾離との会話の件から遠ざけていこうという彼女の作戦は秒で失敗に終わった。

「今日は……いい天気ですね。そうですね」

「流石にその理由じゃ騙されてあげられないよ」

先程以上にニッコリと笑って言われてしまい、少女は再び口をつぐんで大きく目をそらす。

少女と鍾離がお互いを目的にして、こうして会って会話をするということ自体が、二人が一度会っただけであり鍾離の正体が岩神だと知るタルタリヤからしてみれば当然怪しく見えるのだ。

その点を考慮しながら、相手を納得させる嘘の理由など、今の少女にほ浮かばなかった。

(……結局今話題を逸らした所で、私を疑っているこの人が素直に従う筈もないし……仕方ない、か)

「私の正体に近付く部分を、あの方に勘づかれてしまっただけです。……神というのは恐ろしいですね」

誤魔化しきれないと諦めた少女は、根幹に触れない程度に会話の内容について白状する。

鍾離が神であることは知っているだろうという彼女の推測は当たった様で、タルタリヤが驚く様子はない。

その代わり、「なるほどね」と軽い返事をしながら考える仕草を見せており。

(絶対今までの出来事から探ろうとしてる……)

どうやらタルタリヤには、『神にはなんでもお見通し』という言葉など通用しないらしく、不審な点を見つけるべく少女と鍾離が出会った時のことを思い出している様子。

「それで、結局何があったんですか?」

バレることはないと分かりつつも、居心地の悪さに少女はやっと話題を気になっていた部分へ変える。

……と、本当に何があったのか、タルタリヤはどことなく不機嫌そうな顔で短く返事をして……。

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設定タグ:原神 , タルタリヤ   
作品ジャンル:恋愛
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やみくも(プロフ) - もなかじゃんぼさん» お褒めの言葉本当にありがとうございます!お二人のような関係性が自分も大好きなので、分かってくださる方がいて下さって嬉しい限りです( ˃ ⌑ ˂ഃ )ありがとうございます!!!! (2022年5月17日 21時) (レス) id: 4ee0636c47 (このIDを非表示/違反報告)
やみくも(プロフ) - ぱぁわさん» 返信が遅くなり申し訳ございません!応援のコメント大変励みになります!ありがとうございます<(_ _)>ゆったり更新になってしまっておりますが、またお時間ある時に見て下さると幸いです! (2022年5月17日 21時) (レス) id: 4ee0636c47 (このIDを非表示/違反報告)
もなかじゃんぼ - 凄く凄くいい。このじわじわとくる、相手の腹を探るこの関係!!!!凄すぎる!!!どうやったらこんなストーリー思いつくのか!!!!!とても面白いです!更新頑張ってください!!! (2022年5月16日 1時) (レス) @page18 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁわ - 続き待ってます。頑張ってください!! (2022年5月7日 23時) (レス) @page16 id: 2211ccb7f8 (このIDを非表示/違反報告)
ももは - 自分のペースで頑張ってください、!!ゆっくり待ってます!(*´ω`*) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 563d44d02c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やみくも | 作成日時:2022年2月27日 0時

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