闇金カワシマくん

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「…………」



なんか、恥ずかしい体勢だなぁ……、


肝心の川島さんは何とも思ってなさそうだけど。





プロの集中力を横目に、ドキドキが止まらずに、


「私はもう、やめときます」


「え？」


「あとは川島さんのトレーニングを応援します」



そっと脚を戻し、体育座りでその場にとどまったのに、





「……じゃあ僕が腹筋するから、腿の上から体重で押さえて」



「………乗るってことですか？」



「お願いします」



離れるために、一抜けした意味がなくなってしまった。




「……いや、それは」


「ああ、大変だったら大丈夫ですよ」


「いや、大変とかじゃないんです」


「……暑いんで上脱ぎますね」




そんな淡々と、


「ちょっ、」



思わず腕を押さえてしまった。


だって十分、鍛えられてる腹筋を見せつけてくるから。





人じゃなく、熊とでも闘うつもりなのだろうか。







「……顔真っ赤。

僕が鍛えるの見たかったんじゃなかったの？」


「！？」



いつもと違う、

川島さんが妖しく笑っている。






この人は、SじゃなくてMだと思っていたはずなのに。






「早くしないとトレーニングやめて別のことするよ(笑)」




矢継ぎ早に告げられる、お昼にしては刺激強めな台詞。


朝まではただのふわふわしたパン職人だったのに。







「はい、捕まえた」


捕まってしまった。







「僕のお膝乗れますか？」


「………乗れます」


「はい、よくできました」


「………」




極上の笑顔に、いつもと違う硬めな香り。




ほんのちょっとのスパイスが、川島さんの甘さに加えられているのかも知れない。

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