漆 ページ8
「「はっ！？」」「えっ！？」
癒月と月野、陽華は揃って驚きの声を上げる。
風陽が何を出したのか見えない刀剣男士達は？マークを浮かべたり、顔を見合わせたりしている。
それに気付いた癒月は一番端に座っていた石切丸に渡し、回していくように軽く指示した。
それからまた風陽に向き直る。
「何故、僕達が行かねばならない？」
険しい顔をした月野が尋ねる。
「長老様の個性は知ってるよね？」
「えと…占いでしょ？ 近い将来現実になることを占う、ある意味未来予知…だったかな」
風陽の確認に、陽華が呟き癒月と月野は首を縦に振る。
風陽も頷き返す。
「そう。長老様が占ったらある代のヒーロー科の一年生が敵に度々襲われることが分かったんだ」
「ちょい待ち」
癒月が手を挙げて風陽の話を止める。
「それって何年後か分かんねえんだろ？ 今度の一年じゃねえかもしれねえ可能性は」
「ある」
深く頷き、風陽は話を再開する。
「癒月が言った通り、俺達の一つ下以降の代の可能性もあるんだけど、そうじゃないかもしれないだろう？」
「まさか念の為の護衛目的で僕達を通わせる訳ではないだろうな？」
風陽の話を遮るように言った月野だが、その後の風陽の表情に頬を引き攣らせた。
陽華は首をフルフルと横に振る。
「む、無理だよ…。僕は行ったって無駄…！」
「無駄なことはねえだろうけど、そんな理由で俺らを入学させて良いのか？ 募集定員とか」
「その辺は既に上同士で話して決めてある。まぁ俺達も周囲と同じように受験して、合格しなくてはならないんだけどね」
癒月の懸念事項についても風陽は答える。
「つまり事後承諾って訳ね…」
「この四人でというのがせめてもの救いか」
「嘘だぁ…」
脱力した癒月は隣の陽華に寄りかかる。
月野も諦めたように溜息を吐き、陽華はガクガクと震える。
通う当人達は納得はしていなくとも受け入れた。
しかし、そうはいかない者が彼らの背後に大勢いる。
「ちょっと待って下さい！」
やっとパンフレットが回ってきた粟田口の短刀達がそれを握って立ち上がった。
「こんなの横暴だ！」
「主君はもう学校に行かなくて良いと言ってました！」
「こんな突然に言わないでよ！」
包丁と秋田、乱がそう叫ぶ。
他の短刀達は何も言わなかったが、不満そうな表情に変わりはない。
その怒鳴り声に癒月と月野はそちらを振り返り、陽華は身を縮ませた。
短刀達を見遣った風陽が眉を下げて笑う。
「あとは刀剣男士の説得なんだよね…」
続く (更新停止中)
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作者名：飛悠雅 | 作成日時：2020年3月5日 16時
