少年忍者短編 (ページ20)

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優しい友達：元木湧ページ20

私は自分のことがあまり好きじゃない

考えすぎちゃうところも、それを上手く言葉にできないのも、果てにはそのことを気にしてしまうことすら嫌になる

普段はそんなことないのに一度落ち込むとループにはまってしまって抜け出せない

こんな面倒な性格なのに心を許した人の前ではつい話しすぎるし

なんか全部嫌だ

『A？話聞いてる？何ぼーっとしてんのー？』

湧が私の目の前で手を振ってきてはっと気づく

そういえば今湧と飲みに来てたんだった

「え？なんだっけ？」

『ったく、聞いとけよ笑。疲れてんのか？もう帰る？』

「いや、ちょっと考え事してただけだし大丈夫ごめん」

大学時代からの友達で数少ない心を開ける存在の湧

優しくて私と仲良くしてくれてるのが不思議なくらい人気者で頼もしい人

『嘘だ、今日A全然話してないもん。何かあったんだろ。仕事で失敗したとかー？』

湧は優しくて目ざといからいつでも心配してくれてそれが嬉しい

正直心配してくれるんじゃないかって期待してそういう態度を取ってしまったのかもしれない

なんかそういうところさえ自分のことが嫌で

「ううん、ほんとに何も無い。心配してくれてありがとねー」

『そう？まあ俺なんて3連続くらいで同じ発注ミスしてるけど元気に生きてるから大丈夫だよ!』

「いやそれは改善しな？」

湧は今日も笑わせてくれるからしばしさっきまでのモヤモヤは置いておいて残りの時間を楽しむ