正反対の彼 (ページ24)

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Aside

ご飯を食べてから映画館に向かって、席についた

さっきまでは向かい合わせに座ってたのに今はすぐ隣に皇輝さんが居るから落ち着かないというか緊張する

皇輝さんはそんな私の気も知らずに始まった予告を見て顔を近づけて話しかけてくるから心臓が持たない

『あ、』

皇輝さんが急につぶやいたのでスクリーンを見ると仮面ライダーの映画の予告

「どうかした？」

『いや、別に。仮面ライダーとか懐かしいなーと思って』

「確かに、小さい頃は好きでよく観てたなー」

『プリキュアとかじゃないんだ？あ、ごめん決めつけてるわけじゃなくて』

言葉の端々まで配慮が行き届いている皇輝さん

「ふふっ、謝ることじゃないよ。プリキュアも好きだったけど戦隊モノと仮面ライダー派だったんだよね。かっこいいじゃん」

そう言うと皇輝さんは嬉しそうに笑った

『分かる、かっこいいよね』

そこまで話したとき室内がもう一段階暗くなった

『あ、始まるね』

映画は何回も泣けるポイントがあって照明が付いたときには隠しようがないくらい涙で顔がぐちゃぐちゃになった

ちょっと皇輝さんに見られたくないな、湧くんだったら全然平気なんだけどな、そう思いながら皇輝さんの方を見ると

『あー、ほんと感動したね！』

いつもの楽しそうな笑顔には涙を流した痕跡すらなくて

やっぱり皇輝さんってちょっと変わっててツッコミどころしか無い

ハプニングからだけど呼び方も皇輝くん、Aちゃんに変わったし

スクリーンから出て並んで歩く私たちは周りからカップルに見えるのかな、なんて浮かれたことを考える

そのとき後ろから私を呼ぶ声が聞こえた