正反対の彼 (ページ15)

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次の日、今日はAさんとシフト終わりが一緒だから駅まで帰ることになる

いつも通りきちんと接客するけど正直バイト終わりにデートの誘いをちゃんとできるか不安でソワソワしてしまっている

今日もAさんは丁寧に優しく仕事をしている

カランカラン

店のドアベルが音を立てたので入口の方に向かう

『いらっしゃいませ』

普通を装ったけどちょっと見た目が怖い男性二人組が入ってきて少し怯んだ

一人は印象的な明るい金髪に大きくて眼光の鋭い目で、もうひとりは茶髪に金のメッシュが入っていてこちらも目が尖って見えた

『席にご案内します』

二人を空いている席まで連れて行く

『ご注文決まりましたらベルでお呼びください』

そう言うと二人とも声を揃えて

「「ありがとうございます」」

軽くお辞儀をしながら言った

去り際にはうわー今腹減ってるから全部うまそうに見える！なんて片方が言ってるのが聞こえてきて

一瞬でも人を見た目で判断してしまったことを反省する

こういうところだよな、俺

「湧くん、何食べますか？」

ん？今わくって聞こえた気が...

なんとなく振り返った瞬間

「え！？A！？」

金髪の方の男の人が通りがかったAさんの腕を掴んで驚いた声を出した

「あれ、湧くん？」

あの人が、わくくん

昨日から意識していたことだったから緊張して二人の会話を遠くから見守った

「Aのバイト先ってここだったのかよ。こんな近くだと思わなかった」

「確かに一回も遭遇したことなかったね」

「いやもうちょっと驚くとか無いの？俺結構びっくりしてるんだけど」

「まあありうるじゃん。そっちの方は友達？」

「こいつは別のバイトの後輩で長瀬。この子はAでコンビニのバイトの後輩」

「うっす、長瀬っていいます」

「今日A何時に終わんの？今日車で来たし送ってやるよ」

そこまでの会話を聞いて居心地が悪くなってその場を離れた

やっぱり付き合ってるんじゃないかっていう考えも渦巻いたけどなにより、

わくくんとやらと話すAさんは心を開ききっているように見えて、勝ち目が無いって一発で分かった

俺と話すときにはしない表情と声色だった

あの人に送ってもらうなら今日デート誘えないじゃん

いや、そのほうがいいのか