6話 ページ8
どくん。
なんていう少女漫画みたいな音は鳴るはずもなく、代わりに私の気が抜けた声が漏れた。
『...えぇ...』
その声が面白かったのか、口を抑えて笑いを堪える鬱先生。告白はどうした。
「っはは、なんかもう告白とかどうでも良くなってきたわ、
Aちゃんと一緒にいるだけで俺は充分幸せやしね」
その言葉に、どくんという音が鳴ったのは内緒。
んじゃな、と別れを告げて部屋を出る鬱先生の背中を見ながら、独り言を呟く。
『皆と離れたくないなぁ...』
もしかしたら未来が変わっていたかもしれないその言葉は、もう彼に届くことはなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿
「Aちゃんが旅立つということで、最後にお茶会をしよう」
というオスマンの一言で、今、急遽始まったお茶会に参加している。
メンバーはグルッペン、トントン、オスマンと私の四人。
「A」
突如聞こえた特徴的な低い声に、体が揺れる。
「はい、なんでしょう」
会話に割り込みはしないが、耳を傾けているオスマンとトントンに少し申し訳なく思いながら返事をする。
「今まで言えなかったんだが、そのな...
...限界国の件、すまなかったな。」
紅茶を注いだカップに写る自分をぼーっとしながら見ていたが、
その予想外の総統の謝罪で、思わず目線を総統へ向けた。
『え、いやそんな、そもそも私から申し出たんですし...』
「そうは言っても、やりたくはなかったやろ」
被せるように言ったトントン。その言葉が少し図星で、つい俯いてしまった。
『...いいえ、そんなことは「眼」...え？』
「眼が、そう言っとる」
『......』
「分かるで、その気持ち。
本当はこの任務、やりたくないんやろ？
仲間と離れたく無いんやろ？
だからさ、そう思うんやったら...、
早く、帰ってきなよ」
『〜っ、私のこの気持ち、分かった気になんないで...！！
そうだよ、私はこの任務なんかやりたくなかったし、皆と離れたい訳じゃなかった！！
だから、君らが思うよりすぐ帰ってくるから！！！
...指でも咥えて待っていてよね...』
はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、恐る恐る皆の顔を見る。
その顔は、少し安心したような、ほっとしたような。
上手く言い表せないけれど、強いて言うなら、
”仲間”の顔だった。
続く (更新停止中)
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黒灰白有無％(プロフ) - コメント失礼します！此作品面白くて大好きです！！無理には言いませんが続き楽しみにしてます、これからも応援してます！ (7月13日 11時) (
レス) @page8 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - 見させていただきました！すごく面白かったです！上から言うようで申し訳ないのですが、次の作品と次の更新楽しみにしています！ (2022年4月2日 10時) (レス) @page8 id: 6f305a1a0a (このIDを非表示/違反報告)
あいりす - 西野ちゃんさん» gnkiとwrwrdは絡ませたいなと思ってたので作りました、ありがとうございます！！今後の展開はあんまり期待しない方が良いということを言っておきますw (2021年9月19日 11時) (レス) id: 8fa88de3d7 (このIDを非表示/違反報告)
西野ちゃん(プロフ) - コメント失礼します!gnkiの小説が少ない中、wrwrdさんとの作品なんて....見つけた瞬間飛びました（？）とっても面白くてこれからの展開が凄く楽しみです!!掛け持ち作品のほうも読ませていただきます!これからも応援してます!更新楽しみにしてます! (2021年9月4日 6時) (レス) id: 0ebce28583 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす - さんぷる(舞刃と千裕さん)さん» えぇ！！ありがとうございます！！そうです、ぶりっこ恐怖症の人ですw！ぶりっこ恐怖症はぶっちゃけ黒歴史なんでいつか書き直したいですね… (2021年7月16日 21時) (レス) id: 8fa88de3d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいりす | 作成日時：2021年7月10日 11時
