懐玉13 ページ15
「一応医者診せる?」
「硝子がいればねぇ」
『Q』が撤退した後、五条は星漿体である少女を抱えている。いわゆるお姫様抱っこというヤツだ。
可哀想に、あんなクズに抱きかかえられて……まあ米俵を担ぐような感じじゃないだけマシか。
「センが反転術式使えればなぁ」
「ねー」
『聞こえてるからな。クズ共』
悪かったな、反転術式使えなくて。
むっすーと不機嫌顔をすると夏油が頬を突ついてきた。やめろ、そのツツキ攻撃は地味に痛い。
……その瞬間、少女の瞼がふるっと小さく震え目が開かれる。私達(主に夏油と五条)の話し声で目を覚めたらしい。
お、起きた。なんて少女を見下ろし言う五条にピシッと彼女は目を見開いて固まった。
「オラーーーー!!」
パァン!と少女の平手打ちが五条の頬にヒットした。
彼の腕の中なら抜け出した彼女はカンフーのようなポーズを取ると威嚇する。
「下衆め!!妾を殺したくばまず貴様から死んでみせよ!!」
……なんか思っていたのと違う感じの子だな。
星漿体ってもっとお淑やかで大人しいイメージがあった。誠に勝手ながら。
その様子に笑いを堪えるは夏油である。
プッとほぼ堪えきれていない笑いの吐息が出たのはまあ見なかったことにする。
「理子ちゃん、落ち着いて。私達は君を襲った連中とは違うよ」
夏油が優しい笑みで彼女を諭すように言った。
しかし私は知っている。彼が浮かべる笑みは偽りの笑みだということを。
……相変わらず猫を被るのが上手いのではないだろうか、この男。
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!前髪の変じゃ!!」
どうやら彼の笑みが貼り付けたものであると察したのは私だけではないらしい。星漿体、もとい理子さんは指を指して宣った。
笑顔のまま固まる夏油はスススと五条に近付くと何か耳打ちをする。五条は夏油の言葉に頷くと星漿体に近付いていた。
彼女は二人のただならぬ雰囲気を感じたのだろう、脱兎の如く走り出すと私を盾にするように後ろに隠れた。
「なんじゃあの二人は!!意地悪なのじゃ!!」
まあ意地悪なのは認めるけど…私を盾にして言うことかな、君。
「おいガキんちょ。こっち来いよ、遊んでやる」
「嘘じゃ!!嘘つきの顔じゃ!!そのグラサンも変じゃ!!」
夏油に似たような言葉を吐く彼女に青筋を立てる五条。
「あ"?」と五条はドスのきいた声を出すと隠れ蓑に使っていた私をひょいっと退けると夏油と共に両手両足を引っ張り始めた。
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山吹(プロフ) - 遊ちゃん_SKZさん» コメントありがとうございますー!!そう言っていただけるとやる気出ます笑。これからも頑張ります(`・ω・´)ムンッ! (7月9日 19時) (レス) id: 78370344d8 (このIDを非表示/違反報告)
遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 一コメ!!無茶苦茶面白いです、今後が楽しみです応援してます〜!! (7月9日 16時) (レス) @page5 id: da0a08bcf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山吹 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Yamabuki00/
作成日時:2023年7月7日 1時