今日の空が晴れるなら。

＊39＊ ページ41

Sサイド









ずっと、この日のためだけに

みんなで手をとりあって、歩いてきた。







＿＿＿＿1月25日。





最後の、ライブ当日。




『ARASHI LIVE』という立派な旗を掲げている入り口をくぐり


緊張感が漂う空気の中を
確かな足取りで、進んでゆく。







＿＿＿＿トンッ




ゆっくりと歩いていた俺の足に

何かが、触れる感覚。





「っあ、すみません！」



「いえ、大丈夫です。すいません。

俺がちゃんと前、見ていなかったので。」




慌てて頭を下げた、
しゃがんで作業をしていたスタッフを制して


やっぱりゆっくりと、歩く。






………あぁ、随分、見えなくなったんだな。








・









『おそらく半年後には

完全に見えなくなるでしょう。』




医者はすごい。予言者みたいだ。


いつ、どんなことが起こるとか

ピッタリと当てることだってあるのだから。






………でも、ごめんなさい。




『無茶はしない方がいいですよ…。


もう、照明がかすかに見えるか見えないか…

それくらい、視界は無くなっているでしょう？



そんな中でライブなんて………

私は、無理だと思いますよ。』







今日は、あなたの言うことを

信じることはできません。







「＿＿＿おはよう！翔ちゃん！」


背中に、温かい感覚。



「…翔さん、緊張してる？」


包まれるような、懐かしい感覚。



「大丈夫ですよ、翔ちゃん。」


時には、涙も出そうになるほどの……





「楽しもう、翔くん。」


「……うん。」




優しい人たちが、傍にいるから。








みんなと、一緒なら


どこまででも、行けるよ。

どんなことも、やれるよ。






たとえ、見えなくたって




みんなで、絶対にこのライブを


成功させてみせる。

☆花櫻通信☆→←＊38＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す