＊36＊ ページ38
Sサイド
＿＿＿＿＿カシャン。
渇いた音。
でも
一瞬で
俺の気持ちを揺さぶることができる音。
無機質に転がったコーヒーカップは
満たされていたはずの液体を床にぶちまけて
ゆらゆらと揺れている。
「……あ…………っ」
気づいた時には、そんな光景が広がっていた。
「ご…ごめん、ニノ。
みんなも…びっくりさせちゃって。」
本能的に、茶色を被ったカップを拾い上げる。
…ニノが気遣いで淹れてくれたコーヒー。
それを飲もうとして
確かに、手を伸ばした。
確かに、『そこ』にあると思い込んでいた。
……違う。
俺が感じたのは
手が、カップの側面を滑り
軽く空を裂く感覚。
＿＿＿＿見えなかった。
この前までは、できたことが
当たり前に『できなく』なったんだ。
小さい。小さい。小さい。小さい。
違う。世界は、こんなに狭くなかった。
俺の視界が、狭くなっている。
この前よりも、ずっとずっと。
確実に、病気が、進行しているんだ。
「＿＿＿＿翔くん。」
「……………！」
あったかい。大きな智くんの手が
俺の肩に、そっと触れる。
「また…みんなに迷惑かけたとか
考えてるんじゃないよな？」
その手に、優しい力が篭る。
まるで、子に言い聞かせるみたいに。
この人はいつも、こうやって
俺をちゃんと引き戻してくれるから
その優しさが、俺は好きなんだ。
「……違うよ。ただ…………」
……………だからこそ
「…悔しいんだ。
見えないからって、何もできない。
こんなに尽くしてくれてるみんなに
お礼も何もできない。」
悔しい。悔しい。
智くんのあたたかさに応えられない自分が。
みんなと
ただ『生きているだけ』の
自分の弱さが。
「見えなくなることは、別に怖くない。
……でも、
何もできない人間のまま
見えなくなるのが怖い。」
転がったカップが、揺れる。
ゆらゆら、ゆらゆらと。
今の俺の心を、表すように。
「怖いよ。」
ぽつり、呟いた声は
みんなには、どう聞こえるのだろう＿＿＿＿。
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花櫻(プロフ) - うみほたるさん» ありがとうございます！お互いに頑張りましょうね！(*^^*) (2014年11月1日 19時) (
レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - しょーさとさん» ぎゃー！本当に遅くなってごめんなさい！！もっとマメにコメントチェックします！テスト終わって本当に良かったです(*^◯^*)移行後もよろしくお願いします！ (2014年11月1日 19時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
うみほたる(プロフ) - テストお疲れ様です(〃'▽'〃)いつも楽しみに読んでます♪ (2014年10月31日 23時) (レス) id: e38dc0f865 (このIDを非表示/違反報告)
しょーさと - 花櫻さん» 全然大丈夫です！テスト、良い感じでよかったですね！ごゆっくり♪笑 (2014年10月21日 19時) (レス) id: 7063689e75 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - しょーさとさん» 返事遅くなりました（汗）テストどれも結構良かったです(*^^*)部活の大会も終わったので、やっと一息つけそうです♪ (2014年10月19日 22時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花櫻
| 作成日時：2014年9月3日 18時
