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Sサイド
「じゃあ、そろそろ帰ろっか」
大野さんがそう呟いたのは、午後5時前のことだった。
今から帰れば、喫茶店の後片付けくらいは手伝える。
さすがに一日の営業を三人に任せてしまうのは、バイトとして申し訳ない。
……だけど、時間があっという間に経ってしまったようで、少しだけ寂しかった。
自動ドアを潜り抜けて、外に出ると……
「あ……」
「ありゃりゃ……」
雨が、まっすぐに降り注いでいた。
雨脚はしっかりしていて、傘なしで駅まで走るのには少し無理がある。
俺と大野さんは、慌てて屋根のある壁にもたれた。
「これだから梅雨は困っちゃうよねぇ〜」
ふにゃんと笑う大野さんは、言葉のわりになぜか嬉しそうで
突然の雨に興奮しているようにも見えた。
空の悪戯は強さを増して、地に容赦なく水をぶっかける。
強さの表れみたいに。権力の見せつけみたいに。格差の象徴みたいに。
＿＿＿ざあ。
……あ。
やばい。
・
『翔！ 何をやっているんだ！！』
『撃ちなさい。この家で生きていくためには撃つしかないんだぞ』
『お前には銃しかないんだよ。それ以外に何がある』
『櫻井組としての自覚を持て！』
『＿＿っやだ、誰か、助けて……』
雨の音。消防車とパトカーの音。人々の音。
火薬の匂い。鉄の、匂い。
全身を走る痛み。声にならない悲鳴。
『……こんな人生に、何の価値があるっていうの？』
・
＿＿＿ぺち。
「……ッ、！？」
「……大丈夫か、翔くん」
海底からひっぱり上げられたような感覚。
左の頬には、大野さんの温かい手が触れていた。
目の前に俺をまっすぐ捉える目があって、それは芯の通った揺るぎない輝きだった。
「あ……すみ、ませ」
「……震えてる。顔色も悪いよ。寒い？」
「いえ、あの……大丈夫、です」
「嘘つくなって」
ぎゅう、と思ったより大きな腕で抱きしめられる。
温かさと、甘い香りが心地よくて
こんな場所で恥ずかしい、なんて感情も忘れてしばらくそのままでいた。
フラッシュバックしていた映像が、次第に消えていく。
「しょーくん、雨、苦手？」
耳元の声が少しだけくすぐったくて、身をよじる。
「…………はい。…ちょっとしたトラウマがあって」
「……そっか。だから最近元気なかったんだ」
ごめんな、気づけなくて
と腕の力を強くする大野さんの優しさに
……少しだけ、泣きそうになった。
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花櫻(プロフ) - ゆいさん» いえいえ、こちらこそありがとうございます！(*^^*) これから少しずつ、5人の過去と繋がりを明らかにしていく予定です(にやり) 更新はゆっくりですが、どうか応援よろしくお願いします！ メリークリスマス！笑 (2016年12月25日 19時) (
レス) id: 69bc2f5e0e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - ゆいです！花櫻さんに覚えていただけて、光栄です！相葉くんの過去と、翔くんがこれからどんな行動に出るのか、とっても気になります！更新楽しみにしてますね！そして‥‥メリークリスマス(^ ^) (2016年12月25日 9時) (レス) id: 2b88837529 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - ゆいさん» 覚えてますよ〜！笑 コメントありがとうございます(*^^*) 今回のお話の中心は相葉ちゃんです☆ ぜひぜひ楽しみにしていただければ嬉しいです！ (2016年12月18日 21時) (レス) id: 69bc2f5e0e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 花櫻さん！ゆいです！覚えてますか？（笑）今回もまた愛読者の1人として読ませていただきました！相葉くんにも、いろいろな過去があるようですね‥‥これから5人がどのようにして向き合っていくのか。楽しみにしてますね！！！ (2016年12月18日 19時) (レス) id: 2b88837529 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - cloverさん» はじめまして！コメントありがとうございます(*^^*) そこまで言っていただけるなんて、とっても嬉しいです…！ 近頃亀更新で本当に焦っていたので、cloverさんの言葉に少し安心しました(´∀｀) 今後もできる限りが 頑張りますので、どうか応援よろしくお願いします！ (2016年11月30日 7時) (レス) id: 69bc2f5e0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花櫻
| 作成日時：2016年10月7日 23時
