検索窓
今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:263,025 hit

68 ページ27









「聞かなくても……知ってるよ?」


穏やかに微笑んだ翔ちゃんは、汗だくで息を切らした俺を落ち着かせるようにそう言った。





……でもそれは、逆に俺の脳を混乱させてしまう。






「……へっ!?」


「ニノのお父さんから、聞いたよ? けっこう前に……」


「……はあ!?」






あンンンンンのクソ親父……!


震える拳をもう片方の手で必死に抑えながら、微笑み続け翔ちゃんと、スケッチブックを抱えてイスに腰掛ける大野さんに歩み寄る。




翔ちゃんの真っ白で細い腕に、透明な管が何本も繋がっているのに気づいて
一瞬だけ、沸騰した怒りが消えた。





「せっかく話そうとしてくれたのに、ごめんね?」


「あ……いや……その……翔ちゃんの事情を、聞きたくて」

「俺の?」




翔ちゃんは、きょとんと首を傾げる。

俺の頭には潤くんの厳しい顔が浮かんでいた。




「それで、その……昨日、潤くんに聞いてみたら『その前にお前の事情をちゃんと言わなきゃだめだ』って言われたから……」



あの後、しばらく考えて
たしかにその通りだって、思ったから


今日は部活もなかったし、ハッキリさせたかったからダッシュで来たんだ。





「そっか。ありがとね。でも残念ながら、俺はもう知ってたから」



決して嫌味ではなく、穏やかに言う翔ちゃん。

大野さんはそんな彼の次の言葉を予想しているかのように、ふっと笑った。







「だから……俺の事情を聞きたいなら、お父さんとちゃんと話し合ってからにしよ」



「__!?」


「そしたら、話してあげる」





全てを見通したような、まっすぐな目。


俺はこの目が、苦手だ。





……逃げられないから。


このまっすぐな目を見て、逃げてしまったら
それほど自分を情けないと思う瞬間は、ないから。








「……you see?」

「…………あいしー……」



なぜかものすごく流暢な英語で尋ねて来た大野さんの言葉に

ぼんやりと返事をした。

69→←67



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (162 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
589人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花櫻(プロフ) - ふうかさん» ありがとうございます…! メイキングの山コンビが最大級にきゅんきゅんしました(笑)翔くんの衣装がすっごいよかったです♪ (2015年3月8日 22時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - 花櫻さん» 謝るでしたね(汗)すいません! (2015年3月8日 1時) (レス) id: 621223be2b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - 花櫻さん» 誤らなくていいですよ^^sakuraのpvの出だしから翔くんが出てきたのでテンション上がりました!メイキングのナレーターは『はじめてのおつかい』の方でしたね!試験お疲れ様です! (2015年3月8日 1時) (レス) id: 621223be2b (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - あーるさん» ありがとうございます!テスト終わって本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2015年3月7日 23時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - ふうかさん» いつも待たせてしまって、本当にすみません!!せっかくコメントいただいてるのに…!本当にすみません! pv良かったですね♪山カットが多くて(笑)ピカンチのDVDもゲットしました!めっちゃ良かったです♪ (2015年3月7日 23時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花櫻 | 作成日時:2015年1月8日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。