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「聞かなくても……知ってるよ?」
穏やかに微笑んだ翔ちゃんは、汗だくで息を切らした俺を落ち着かせるようにそう言った。
……でもそれは、逆に俺の脳を混乱させてしまう。
「……へっ!?」
「ニノのお父さんから、聞いたよ? けっこう前に……」
「……はあ!?」
あンンンンンのクソ親父……!
震える拳をもう片方の手で必死に抑えながら、微笑み続け翔ちゃんと、スケッチブックを抱えてイスに腰掛ける大野さんに歩み寄る。
翔ちゃんの真っ白で細い腕に、透明な管が何本も繋がっているのに気づいて
一瞬だけ、沸騰した怒りが消えた。
「せっかく話そうとしてくれたのに、ごめんね?」
「あ……いや……その……翔ちゃんの事情を、聞きたくて」
「俺の?」
翔ちゃんは、きょとんと首を傾げる。
俺の頭には潤くんの厳しい顔が浮かんでいた。
「それで、その……昨日、潤くんに聞いてみたら『その前にお前の事情をちゃんと言わなきゃだめだ』って言われたから……」
あの後、しばらく考えて
たしかにその通りだって、思ったから
今日は部活もなかったし、ハッキリさせたかったからダッシュで来たんだ。
「そっか。ありがとね。でも残念ながら、俺はもう知ってたから」
決して嫌味ではなく、穏やかに言う翔ちゃん。
大野さんはそんな彼の次の言葉を予想しているかのように、ふっと笑った。
「だから……俺の事情を聞きたいなら、お父さんとちゃんと話し合ってからにしよ」
「__!?」
「そしたら、話してあげる」
全てを見通したような、まっすぐな目。
俺はこの目が、苦手だ。
……逃げられないから。
このまっすぐな目を見て、逃げてしまったら
それほど自分を情けないと思う瞬間は、ないから。
「……you see?」
「…………あいしー……」
なぜかものすごく流暢な英語で尋ねて来た大野さんの言葉に
ぼんやりと返事をした。
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花櫻(プロフ) - ふうかさん» ありがとうございます…! メイキングの山コンビが最大級にきゅんきゅんしました(笑)翔くんの衣装がすっごいよかったです♪ (2015年3月8日 22時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - 花櫻さん» 謝るでしたね(汗)すいません! (2015年3月8日 1時) (レス) id: 621223be2b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか - 花櫻さん» 誤らなくていいですよ^^sakuraのpvの出だしから翔くんが出てきたのでテンション上がりました!メイキングのナレーターは『はじめてのおつかい』の方でしたね!試験お疲れ様です! (2015年3月8日 1時) (レス) id: 621223be2b (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - あーるさん» ありがとうございます!テスト終わって本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2015年3月7日 23時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - ふうかさん» いつも待たせてしまって、本当にすみません!!せっかくコメントいただいてるのに…!本当にすみません! pv良かったですね♪山カットが多くて(笑)ピカンチのDVDもゲットしました!めっちゃ良かったです♪ (2015年3月7日 23時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花櫻 | 作成日時:2015年1月8日 22時