24 ページ24
Sサイド
【爆発まであと 0：23：59】
これが夢だと疑うのは、これで何回目だろう。
スタジオに駆け込んだ瞬間、目に入ったのは
複数の犯人たちに押さえつけられた3人と
ただ不気味に微笑みながら、俺たちに拳銃を突きつける吉本さんの姿。
……どうして？
なんでこうなっているの？
「……約束通り来ましたけど」
固まる俺の代わりに、智くんが低い声で言う。
……その言葉に、吉本さんがにやりと笑うのを合図に
「うわっ！」
「智くん！」
後ろに回り込んでいたらしいスタッフたちが、智くんを押さえつけた。
……これで、動けるのは俺だけ。
だけど、俺には役立たずな足がついているだけだから
ほぼ動けないのと同じだった。
「今から櫻井さんに、ある選択をしていただきます」
「……え……？」
ただ吉本さんの声と、みんなの抵抗するバタバタという音だけが
この薄暗いスタジオに響く。
一瞬、腕時計をちらっと確認すると
爆発まであと20分ほどだった。
「まあ一言で言うと、櫻井さんがどれほど他人を思いやる方なのかを確かめるものです」
次の瞬間
＿＿＿＿ガシャッ
「…………っ！！」
目の前の足元に投げられたのは、拳銃。
さっきまで吉本さんの手元にあったもの。
……人の命を、いとも簡単に奪ってしまう道具。
俺を撃った、凶器。
「これで、あなたが自分を打ち殺したら、他の嵐のみなさんを解放します」
「は……！？」
「それを拒むなら、このスタジオの扉の鍵をすべて閉めて
ここで爆発するのを待って、全員で死にます」
吉本さんが何を言っているのか、よく分からなくて
ただ呆然と、足元で黒く光る拳銃を見つめる。
なにを、なにを言っているの？
打ち殺す？ 自分で？ 自分、を？
じゃないと……みんなが爆発に巻き込まれて
＿＿＿＿＿＿＿＿死ぬ……？
「＿＿っざけんな！！」
智くんが、立ち上がる勢いで叫ぶ。
それでも押さえつけられて、じたばたと暴れている。
「はなせっ……」
「おい、吉本っ……どういうことだよっ！！」
「翔ちゃん……！！」
ただただ、頭が真っ白で。
足の痛みさえも、なにもかも頭に入って来なくて。
なんだか、立っていられなくて。
吉本さんの笑顔じゃない笑顔を前に
その場にへなへなと座り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 437人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山にのあい(プロフ) - すごく感動しました。とても良い作品です泣 (2016年2月22日 16時) (
レス) id: 3c4616375b (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - 彩佑実♪arsさん» ありがとうございます！本番で落ち着いて、いつも通りの自分が出せたらきっと大丈夫ですよ！ 生意気言ってすみません(^_^;) 応援していますね！ (2016年2月18日 16時) (レス) id: 1f16760700 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実♪ars(プロフ) - 合格おめでとうございます！ 私は明日私立、3/3公立なので頑張ります＾＾ 新作楽しみにしています♪ (2016年2月15日 19時) (レス) id: 977b44e406 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - ひなさん» いえいえ！楽しみにしていただけてすごく嬉しいです(*^_^*) 新作もよろしくお願いします！ (2016年2月14日 18時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - そうだったんですか汗はやとちりすいません！焦らずやってください(._.`)受験おつかれさまでした(^^) (2016年2月14日 17時) (レス) id: 287a42e902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花櫻
| 作成日時：2015年6月9日 22時
