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Sサイド
【爆発まであと 1：20：02】
「ふざ……けるなっ！！」
智くんにナイフを向けようとする男。
マイクのスイッチを切った俺は、智くんに抑えられたままの男の腕を、思いっきり蹴った。
ナイフが甲高い音を立てて、遠くへ弾き飛ばされる。
「翔くん、逃げっぞ！」
「うん！」
男が転んだ隙に、俺と智くんは全力で駆けだし、管理室を抜けだす。
あとは10階の会議室でみんなと合流すれば
ひと段落つくんだ。
「やったね、翔くん。人質逃がせたじゃん」
「智くんのおかげだよ」
走りながら微笑んでくれる智くんと、小さくハイタッチをする。
……そんな緩やかな時間も束の間。
「いたぞ！ 逃がすな！」
右方向の曲がり角から、別の場所を見張っていたであろう複数の男たち。
ナイフやら警棒やらを手に、俺たちを追いかけてくる。
「は、っは……しんどっ……」
もう随分と減ってしまった体力をふりしぼって、走り続ける。
……こんな時、先を走る智くんの背中が、いつもよりも頼もしく見えるんだ。
12階への階段を駆け下りて
ちらりと後ろを振り向いた、その時だった。
＿＿＿＿パアァン！！！
耳をつんざく、銃声。
足を掠めた熱。
傾く体。
「＿＿＿＿＿っう”あああ！！！」
「翔くん！！」
重力に負けて、どさりと倒れ込む。
視界が霞む。智くんが駆け寄ってくるのがぼんやりと見える。
痛い。痛い。痛い。
違う。そんなものじゃない。
熱い。熱い。
足が、体が、震える。
声にならない叫びが、喉の奥でじりじりと沸騰する。
「っぁ……う……あ”」
「翔くんしっかり……翔くん！ 分かる！？」
智くんの腕の中。痛みで体の震えが止まらない。
手を握られた感覚さえ、ぼんやりとかすむ。
視界の隅にうつる血だまり。
衣装のズボンは真っ赤に染まり、それは面積を広げていく。
耳を澄ませば、すぐそこに足音が聞こえる。
「はっ……さと、く……逃げて…………」
「え？」
「早く……智く、ん……だけでも……！」
俺はもう動けない。
せめて、智くんだけでも、みんなと合流して。
「そんなこと……できるわけ、ないだろ！！」
「……っ」
智くんの背に乗せられる。
俺よりも少し小さな体。
でも、俺よりも頼もしい背中。
「絶対……みんなで、助かるんだよ！！」
そのまっすぐな言葉に
痛みよりも熱い涙が零れた。
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山にのあい(プロフ) - すごく感動しました。とても良い作品です泣 (2016年2月22日 16時) (
レス) id: 3c4616375b (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - 彩佑実♪arsさん» ありがとうございます！本番で落ち着いて、いつも通りの自分が出せたらきっと大丈夫ですよ！ 生意気言ってすみません(^_^;) 応援していますね！ (2016年2月18日 16時) (レス) id: 1f16760700 (このIDを非表示/違反報告)
彩佑実♪ars(プロフ) - 合格おめでとうございます！ 私は明日私立、3/3公立なので頑張ります＾＾ 新作楽しみにしています♪ (2016年2月15日 19時) (レス) id: 977b44e406 (このIDを非表示/違反報告)
花櫻(プロフ) - ひなさん» いえいえ！楽しみにしていただけてすごく嬉しいです(*^_^*) 新作もよろしくお願いします！ (2016年2月14日 18時) (レス) id: 268cdfb6c7 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - そうだったんですか汗はやとちりすいません！焦らずやってください(._.`)受験おつかれさまでした(^^) (2016年2月14日 17時) (レス) id: 287a42e902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花櫻
| 作成日時：2015年6月9日 22時
