【H×H】みんなのいろんな姿がもっと見てみたい！！【短編集】 (ページ8)

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【イルミ】取引相手ページ8

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黒いスーツを身にまとい、スーツ同様に黒いアルミ製のアタッシュケースを手に取った。

ヒールの音が響く路地には街灯も人気もなく、何度も行われている取引なのにも関わらず鼓動がはやまっていく。

ジャケットの内側に忍ばせている拳銃をジャケット越しに撫で、無機質な感触を確かめた。

大丈夫、ちゃんと手入れもして弾も詰め替えた。

何度も何度も心の中で大丈夫だと言い聞かせるのにどうしても、背後が気になって仕方ない。

見られているような、誰かがいるような感じがしてぞわぞわとした物が背中と腰に染み渡る。

『っ誰！？』

取り出した拳銃を後ろに居るであろう誰かに突きつけた。

『なんだバレたのか。
意外と鋭い所あるんだ。』

『い、イルミさん…脅かさないでくださいよ。』

取引相手のイルミだとわかった瞬間、口から出る大きくて重いため息は緊張も外へと出て行った。

『これ、今回の代物です。』

ジャケットに拳銃をしまい、アタッシュケースをイルミへと差し出す。

だが、それを受け取ろうとはしなかった。

『イルミさん？』

呼吸音も聞こえない、居るはずなのに居ないと錯覚してしまう程に気配を消しているイルミに少しの疑問と恐怖心が芽生えた。

初めて顔を合わせた時から怖いとは思っていた。

何処か生気が感じられず、狂気のような何かを宿した瞳。
不気味な読み取れない表情。

全てが怖かった。