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驚いて後ろを振り返ると、鉄パイプや鉄筋、金属製の足場などが歩道に散乱していた。どうやら横の建設中のビルから落下したようだ。


「ふは、流石俺の息子、神の子だわ。最高だ。うん、後で目一杯褒めてあげよう。」

「……え?」


深澤さんのそんな言葉が背後から聴こえた気がして振り向いたが、そこにはもう深澤さんの姿はなかった。

状況を確認しようと辺りを見回す。先程まで近くにいたはずの部下の姿が見当たらないことに気が付いた。キョロキョロと辺りを探して、ふと視線を下に向けると少し離れた場所に人影が見えた。血溜まりの中に、変わり果てた姿の俺の部下がいた。頭は完全に潰れ、体の上には幾つもの鉄パイプが重なっている。恐らくもう息絶えているだろう。

(何が起こった?事故?いや、深澤さんが何かしたのか?まさか、そんな……。)

混乱する脳内。目の前の光景に思考が停止する。呆然と息の根を止めている部下の姿を見つめていると、聞き覚えのある声が耳に入ってきた。


「涼太!!大丈夫か!」


翔太の声だ。わざわざ遠い向かいのビルから走ってきてくれたのだろうか。俺のために。翔太が俺を心配してくれている。方法はどうであれ喜ばしい。あの翔太が俺を見てくれているのだから。あぁ、なんて幸せなことだろう!
頬が緩みそうになったが、表情は変えなかった。


(…この状況を利用しろってことか、深澤さん。それなら……。)


「……怪我は……無いな。良かった…!」

「…あ………しょ、う…た。あ……。」


大袈裟に、しかし嬉しい心の内を見せないよう、恐怖に怯えた顔を作った。そして、俺は翔太の後ろを震えながら指差す。視線の先には血濡れの部下。


「う……あ………アアアッ!」

「涼太!見るな!」


混乱するフリをした俺を、翔太が優しく抱き締める。翔太が俺のことを考えてくれている。それだけで心が満たされていく。久しぶりに感じる翔太の温もりに意図せず口角が上がってしまった。どうせ翔太からは見えないからいいか。

翔太は俺が落ち着くまでの間、抱き締め続けてくれていた。

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- 顔の腫れ戻って良かったです〜息子の遊び相手って何だ?と初回の伏線から気にはなっていたので今回わかって嬉しい反面やはり怖い!遊んだ後の素材は卸様が持って行くのでしょうね!毎回ゾクゾクワクワクな気持ちになります。楽しい時間を今回もありがとうございました! (5月10日 13時) (レス) @page50 id: d0bfcc5a35 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - 愛さん» お久しぶりです!連続で物騒になってしまいました(笑)私自身、苦しむ描写が好きなのでちょっと詰め込んでしまいましたね。深澤担の皆様にはご心配をおかけします(汗) (5月10日 6時) (レス) @page47 id: c5809cbf44 (このIDを非表示/違反報告)
- きゃー夜宵さんだ!待ってました更新嬉しい…最近お店は物騒ですね。今度はバット持って来た。いやしかしなぜdayの始まりが首締めあげられたり、メッタ叩きといつもやばいんですか?生きてるとは思ったけど自担なのでとても心配になります。顔ぐちゃは怖過ぎです(笑) (5月9日 13時) (レス) id: b51f04b8ea (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - 愛さん» お気遣いありがとうございます!感想いただくと創作のモチベが上がるので大変有難いです…!4=シ=死の連想でday“4”にこのお話をあてました。節々で異常な日常が出せたら良いなぁと思っていたので、怖がってもらえて嬉しいです! (2023年3月6日 0時) (レス) @page46 id: c5809cbf44 (このIDを非表示/違反報告)
- やはり店主は特別な方だと思ってはいましたが、まさかパパさんまで手中に落としていたとは!day4は、会話は日常ののんびりした時が流れているはずなのに、最後まで言葉の一つ一つが怖かったです。最近夜宵さんが沢山来てくださり嬉しいですが、ご自愛もしてくださいね。 (2023年3月5日 1時) (レス) id: bc558c90df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜宵 | 作成日時:2020年11月7日 20時

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