【d!】Suber Zucker【現パロ】 (ページ5)

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その日はどうにも悪いことが続いた。部下がプロジェクトデータを消失させてしまったり、車がエンストしたり、キーボードにコーヒーを零されたり。他にも細々と色々なことがあった。
その全てがストレスを生んで重なり、とにかく苛立っていた。

ああ、甘い物でも食べてストレス発散が出来ればいいのに。

しかしながら無情なことに部下の尻拭いに奔走していれば時刻は21時を回っていた。正直起こったことを鑑みればこの時間に帰路に着くことが出来るのは奇跡と言えるのだが、こんな時間となってはケーキ屋なんかは既に閉まって閉まっている。想定よりは早く帰路につけた喜びよりも、ケーキ屋に立ち寄れないという絶望が上回る。

(大体、なんだってケーキ屋って言うのはどこもあんなにはやく閉まるんだ。夜中までやってるケーキ屋があったって良いじゃないか)

八つ当たりのように遅くとも六時頃には閉まってしまうケーキ屋を思い浮かべて心の中で毒づいた。そんなことをしてもケーキ屋は開かないというのに。

ぶつぶつと心の中で文句を垂れながら駅までの道を歩いていると、ふと明かりを零す路地が目に入った。はてさて、どうしてこんなところに明かりが？と思ってチラリとその路地を覗いてみると、そこには隠れるようにして店らしきものが鎮座していた。
暗がりに目を凝らして申し訳程度に淡く照らされたその店らしき建物の看板を見れば「コンディトライ」の文字が見て取れた。

嗚呼、メシアよ！いいや、正確に喩えるとするならばきっと地獄に垂らされた蜘蛛の糸だ！！

藁にもすがるような思いで、自分はその店の小洒落た赤い扉へと手をかけた。

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