喋れない少女

誘拐 ページ7

〈ガコッ〉
大きな音がして扉が閉まる。
何度も壁を叩いていますが
未だ出れていません。
どこにあるのかすらわからない倉庫に閉じ込められて
その上声が出ないので助けも呼べない。
(うわぁ…私、詰んだかもです…)
こうなったのは遡ること10分前…

私)『ごめんなさい』
伏黒)「遅れるなとあれほど…」
私は結局学校に遅れてしまい、伏黒くんからお説教を受けています。
私)『女の子たちに引き止められてしまいました…』
伏黒)「放っておけばよかっただろ」
私)『可愛そうじゃないですか』
伏黒)「問答無用」
ガーン！
絡まれたんですからしかたなくないですか？
私)『伏黒くんなんて知らないです』
伏黒)「それ、今年４回目」
私)『うるさいです！』
思わず走ってクラスから逃げたら…
近くにいたおじさんに捕まってこの状況です。
(うぅぅ…なぜこんなことに…)
いや、頑張ったら出れますよ？
呪いの力は持っているわけですから。
ただそしたら弁償代が…！
弁償代がバグってるんじゃないかってくらいになるんですよ！
(どうしましょう…)
私の呪いの効果は
物のサイズの変換と速度・攻撃力の変換。
これには色々ルールがあります。
まず、もともと速度・攻撃力がない物の変換はできません。
例えばハンカチ。
速度・攻撃力がないのでそのあたりは変換できません。
その代わりハサミは速度がない代わりに攻撃力があります。
なのでハサミは攻撃力の変換だけできます。
次に生命体の大きさの変換はできません。
人間だと攻撃力も速度もあるので変換できます。
そのかわり、生命体なので大きさは変換できません。
また、自分の攻撃力・速度を変換するのは自由ですが
他人の攻撃力・速度を変換するのは触っている間しかできません。
これは物も同様です。
また、変換している間はずっと呪力を使います。
だから50ｍ走で早くなりたいからと言って
呪力は使いません。絶対に。
最後に、物の速度・攻撃力を変換するかは調整できます。
大きくするか小さくするかも自分で決めれます。
この御陰で私、鉛筆が持てます。
今回の場合、このあたりにある石を
倉庫の小さな隙間に挟んで呪力を込めれば
なんとかなります。
でも…
(弁償代、低くて100万はかかるだろうなぁ…)
お金問題で気安く使えないというわけです。
こんなことなら伏黒くんに素直に謝るべきでした…

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