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「や……ぁ、あやまりますからっ……だから、ゆるしてくださいっ……！」
「ははっ……そんなに怯えんでも、本当は最初から怒ってへんよ。ごめんなぁ、Aが可愛いからつい意地悪してしもたわ。」
違う、そうじゃなくて。
本当の意図を伝えるのは怖いし、嫌な予感しかしない。
けど、噛み合わないままではいけないと思って、勇気を振り絞って口に出した。
「わた、わたし……その、やっぱりちがうな、って……。」
「んー、どゆこと？」
首を傾げる動作にはいつものシャオロン先輩の片鱗が見えて、私はいくらか落ち着いて言葉を紡ぐことが出来た。
「しゃおろんせんぱいのこと……すきだったん、ですけど……その、やっぱり……。」
「ゾムがええの？」
背中にぞくりと寒気が走った。
伏せていた視線を上げることが出来ない。
きっと、今彼の顔を見てしまったら、2度と抵抗しようと思えなくなってしまうから。
「ち、が……わた、し……。」
「じゃあ誰？ コネシマ？ グルッペン？ それともエーミール？」
誰を消せば俺のこと見てくれるの？
なんて言葉も、とても冗談で言っているようには聞こえない。
彼の、太陽のような瞳が好きだった。
けれど今は、深淵の闇を湛えた双眸が私の顔を覗き込んでいる。
あぁ、だめだ。
ていせい、しなきゃ。
「う、そ……です。」
「嘘？ ……ああ、なんやびっくりさせんなよー。」
途端に見慣れた笑顔に戻るシャオロン先輩。
けど、1度折れた私の心はもう戻りそうにない。
「もうそんなしょーもない嘘ついたらアカンで。」
「はい……ごめんなさい……。」
よしよし、と私の頭を撫でる手は温かいのに、撫でられた場所は酷く冷たい気がした。
私はこれからどうすればいいのだろうか。
知りたくなかった一面を見てしまった今、心から彼を愛せるとは思えない。
「あ、せや。せっかく心が通じあったわけやし、ちゅーしよ！」
「え……。」
手足が重いのは薬のせいか、それとも心の枷のせいか。
どちらにせよ逃げられないことは確かだ。
「あ、初めてなのは知っとるから。俺に任しとき。」
ああ、そう言えばゾム先輩にキスの経験はあるか聞かれたことがあったっけ……。
どうしてこうなっちゃったのかなぁ。
やっぱり、ストーカーみたいなことしてた罰なのかなぁ。
そんなことを考えつつ、私は全てを諦めて目を閉じた。
深淵を覗く時。
(貴方を引きずり込もうとする手は、既に回されているのかもしれない。)
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笹良柚紀(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます！今後も拗らせた話を中心に書いていきますので、お付き合い頂ければ幸いです〜 (2019年11月8日 21時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいております！ヤンデレ大好きです（真顔）。これからも頑張ってください！応援しています。 (2019年11月8日 20時) (レス) id: b98328a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2019年2月9日 3時
