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「え、あ……。」
「お、Aちゃん今帰りー？」
そこに居たのは紛れもなくシャオロン先輩で。
彼に向き合う決意をしたものの、まさかこんなに早く対面するとは思わず私はあからさまに挙動不審になってしまう。
「こ、ここ、こんばんは！」
「ん、こんばんは。ゾムからとりあえずここにいとけって言われたんやけど、もしかしてAちゃんが帰ってくるか見とけってことやったんかな？」
過保護やねー、と言って笑うシャオロン先輩の言葉で状況を呑み込んだ。
ゾム先輩……まさかそこまでお膳立てしてくれるとは。
ありがたいけど先に言っておいて欲しかった。
しかし千載一遇のチャンスであることには代わりなく、私は何か言わねばとテンパりまくった結果口から出たのが……。
「こ、今夜は、月が綺麗ですねっ。」
「……あー、なんやったっけ。そう、『わたし死んでもいいわ』。」
違う、違うのだ。
唐突に告白するつもりなんてなかったのだ。
ただ、本当に、彼の背後で爛々と輝く月が美しいと思ったから。
けれど今は月よりももっともっと綺麗な彼の瞳が目の前にあって。
思考回路は完全にオーバヒートを起こして使い物にならず、私は硬直したまま彼の瞳の中の自分を見つめることしか出来ない。
「って、返すのが正しいとかイキり野郎から聞いたんやけど、あってた？」
「は、はひ…………。」
どうやらシャオロン先輩はこのやり取りの意味までは把握していなかったらしい。
私は何度か深呼吸をしてやっと心臓を落ち着けたのだが、その苦労は一瞬にして無駄になる。
「な、よかったら家でお茶でも飲んでかへん？」
「へぁあ！？」
まるでエスコートでもするかのように下からそっと手を取られ、優しく微笑みかけられた私の頭は危うく再び熱暴走しかけた。
「え、で、でも、あの、わ、わた……！」
「もちろん無理にとは言わへんけど、実家から何かいい茶葉とか言って送られてきてな。誰かと飲もうかと思ってたんよ。」
これは、行くしかない。
天が私に進めと言っているんだ……！
私は意を決して彼の手を握り返す。
「つ、謹んでお受けいたします！」
「あはは、Aちゃんおもろいなぁ。」
シャオロン先輩の部屋は私の部屋の1つ隣だった。
元は別の人が住んでいたのだが、その人が転勤する事になった少し後にシャオロン先輩が別の部屋から引越してきたのだ。
なんでも、前の部屋でポルターガイストが出るようになったので寮内で引っ越すための申請をしたのだとか。
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笹良柚紀(プロフ) - 碧さん» コメントありがとうございます！今後も拗らせた話を中心に書いていきますので、お付き合い頂ければ幸いです〜 (2019年11月8日 21時) (
レス) id: da544bddee (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいております！ヤンデレ大好きです（真顔）。これからも頑張ってください！応援しています。 (2019年11月8日 20時) (レス) id: b98328a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹良柚紀
| 作成日時：2019年2月9日 3時
